マウスピース矯正のデメリットとリスク
マウスピース矯正は、透明に近いマウスピース型の矯正装置を装着して歯列を整える治療法です。
使用するマウスピースは、従来のワイヤー矯正と比較して非常に目立ちにくいため、「歯並びに悩んでいるけれど、目立つ治療は嫌だ」という方に人気があります。
とはいえ、マウスピース矯正にもデメリットはあります。
この記事では、マウスピース矯正の概要やリスクなどについて解説します。
この記事を読むことで、マウスピース矯正の治療の進め方やメリット・デメリットなどを理解でき、下記のような疑問や悩みを解決します。
こんな疑問を解消!
- マウスピース矯正の概要と治療の進め方
- マウスピース矯正のメリット
- マウスピース矯正のデメリットや注意点
マウスピース矯正とは
マウスピース矯正は、透明に近いマウスピース型の矯正装置(アライナー)を歯に装着して歯並びを矯正する矯正方法です。一人ひとりの歯に合わせて作製される装置を装着し、治療の段階に合わせて新しい装置に交換しながら徐々に歯を動かし、歯並びを矯正します。
マウスピース矯正にはいくつかの種類があります。これらは、歯を動かす基本的な理論は同じですが、製作法や装着感、適応症などが少し異なります。
マウスピース矯正で人気のインビザラインシステムでは、3次元治療計画ソフトウェアを使用し、治療計画を作成します。これに基づいてアライナーをカスタムメイドで製造します。患者さんは、毎日アライナーを装着し、1〜2週間ごとに新しいアライナーに交換します。約4〜6週間ごとに通院し、ドクターの診察を受けて治療経過を確認していきます。
マウスピース矯正のメリット
マウスピース矯正には従来の歯列矯正では、デメリットとされていたもののいくつかが改善されています。
目立たない
マウスピース矯正は、薄く透明に近いプラスチック製の装置を使用するため、装着していてもつけていることがほとんど分かりません。歯列矯正中であることを周囲にほとんど気づかれずに装着可能です。
マウスピース矯正は、治療中の見た目が気になる方、人と接する機会の多い方などにおすすめの矯正治療法です。
装置の取り外しが可能
マウスピース矯正は、他の矯正装置と違い、患者さん自身で取り外しできることが大きな特徴の一つです。
食事の時に取り外すことができるので、装置に食べ物が詰まる心配もなく、治療中も普段通りに食事ができます。また、結婚式や写真撮影など特別な行事がある場合だけ、装置を取り外すことも可能です。
さらに治療中でも簡単に歯のお手入れができます。清潔性に優れ、虫歯や歯周病の発生を軽減でき、口腔内を健康に保つことができます。
段階に合わせて新しい装置に交換
マウスピース矯正は、治療の段階に合わせて矯正装置を新しいものに交換していくので、この点においても清潔性に優れます。
異物感・痛みが少ない
マウスピース型の矯正装置は金属を使用しないので、唇や口の中の粘膜を傷付ける心配がなく、口内炎が生じるリスクを回避できます。治療期間中に装置が歯から外れてしまうなどの緊急性が少ないことも特徴の一つです。
また、マウスピースを交換しながら段階的に歯を動かし矯正するため、従来の矯正方法(ワイヤー矯正)と比べて強い力がかからず、痛みや不快感が少なくなっています。
使用するマウスピースは薄いプラスチック製の装置のため、従来の矯正方法と比べて違和感が少ないことも特徴です。プラスチック製の装置を使用するため金属アレルギーの心配もありません。
通院回数が少ない
マウスピース矯正のひとつ「インビザラインシステム」では、1回の歯型取りで必要なアイライナーをすべて作製するため、治療が安定してからは、だんだん通院頻度が下がります。何度も歯型取りをする必要がなく、従来の矯正方法のようなワイヤー調整の時間もないため、通院時の処置時間が少ないこともメリットの一つです。
慣れてきたら数ステップ分の矯正装置を渡して、患者さん自身で装置の交換を行うこともできるため、ご多忙な方でも行いやすい矯正方法です。しかし、患者さん自身で装置を交換する必要があるので、患者さんの自己管理がとても大切です。自己管理ができず、装置が歯の動きに合わなくなった場合は、新しく歯型を取って新しい装置を作り直さなければなりません。
歯の移動を画像と動画で確認できる
マウスピース矯正のインビザラインシステムでは、3次元治療計画ソフトウェアを通じて、治療開始から完了に至るまでの歯の移動を、コンピューター画面上で画像および動画として確認することができます。
この3次元治療計画では、予測される歯牙の最終位置が示されるほか、おおよその治療期間も確認できるため、患者さんのモチベーション維持にもつながります。
マウスピース矯正のデメリット
マウスピース矯正で綺麗な歯並びを手にするには、今まで以上に歯への意識改善や、自己管理の徹底が重要です。
自己管理が必要
取り外し可能な装置なのが、マウスピース矯正のメリットであり、デメリットでもあります。患者さんの協力度は重要で、歯科医師の指示に従わない場合、治療期間が延長したり、治療結果が思わしくないということが起こり得ます。
装着時間
マウスピース型矯正装置は、1日20時間以上装着できない場合には、歯が目的の位置まで移動しません。
基本的に食事中や歯磨き時以外は装着するのが望ましい装置です。装着し忘れたり装着時間が短かったりすると、計画通りに治療が進まず、治療期間が延びてしまうことがあります。
またマウスピース矯正は薄い装置で異物感は少ないですが、慣れるまでは違和感が出たり、発音しにくく滑舌が悪くなる場合があります。しかし、それは他の治療法も同様です。マウスピースが生活の一部として定着するまでは、装着時間の長さをストレスに感じてしまうかもしれません。
交換時期
マウスピース型矯正装置を数ステップ分まとめて受け取った場合などは、装置の交換を自己管理のもと、自宅で行っていただく必要があります。
装着中の飲食に注意が必要
食事中はマウスピース型矯正装置を外してください。装着したまま飲食すると、マウスピースに食べかすなどがついて虫歯や歯周病のもとになってしまったったり、マウスピース自体が傷んでしまったりする可能性があります。
水を飲む場合は特に外す必要はありませんが、装着したまま糖分のある清涼飲料水(コーラなど)を飲むと虫歯リスクが発生する場合があります。また、熱い飲み物にマウスピースが触れると、変形してしまう可能性があります。ワインやコーヒーなど色素が強いものは着色してしまうおそれがあります。
食事の後は、歯磨きとマウスピース型矯正装置のお手入れが必要です。磨き残しがあったりマウスピースの洗浄が不十分だったりすると、マウスピースをはめている間に虫歯菌・歯周病菌が増殖してしまいます。食事や間食を行うごとに、歯と装置をきれいにしなくてはいけないので、間食の習慣がある方など、人によってはライフスタイルの改善が必要になるかもしれません。また、食事の時に外すので、マウスピースの紛失にも注意が必要です。
症例によっては適応できない
骨格性の問題を含むケースや歯の移動量が大きくなるなどの難度の高いケースは、マウスピース矯正では難しい場合があります。
マウスピース矯正はアタッチメントの併用で適応範囲が広がっていますが、従来の矯正方法や外科矯正のほうが適している場合もあります。症例によっては従来の矯正方法とマウスピース矯正を併用するということもあります。自分の選択すべき矯正方法は、詳しい検査を行って判断することになります。
臼歯がかまないことがある
マウスピースは歯の咬む面を覆っている装置なので臼歯部が圧下しやすく、治療終了時に臼歯がしっかり噛まない場合があります。しかし、これは時間とともに噛めるようになることが多く、上下顎間に顎間ゴムを用いることで改善が可能です。
【まとめ】マウスピース矯正のデメリットとリスク
マウスピース矯正の概要やメリットとデメリットなどを解説しました。
この記事では、下記のようなことが分かったのではないでしょうか。
ここがポイント!
- マウスピース矯正では、アライナーを装着して歯列を矯正する
- 治療期間中は毎日アライナーを装着し、1〜2週間ごとに新しいアライナーに交換して歯の移動を促す
- 約4〜6週間ごとに通院して経過を確認する
- マウスピース矯正のメリットは、目立たない、清潔性に優れている、口腔内を健康に保てる、異物感や痛みが少ない、通院回数が少ない、モチベーションを維持しやすいなど
- アライナーの装着は1日20時間以上が必要
- アライナーの交換は自己管理で行う
- 食事の際はアライナーを外さなければならない
- 水以外のものを飲む場合も、アライナーを外すほうが良い
- 食後は歯磨きとアライナーのケアが必要
- 症例によってはマウスピース矯正が適さない場合もある
- 治療終了時に臼歯が嚙み合わないこともある(自然に改善されるか顎間ゴムで改善可能)
マウスピース矯正は、従来の歯列矯正と比べてメリットの多い治療方法です。しかし、装置の装着時間が長く、自己管理が必要などのデメリットがあり、注意すべきリスクも存在します。症例によっては向かないケースもあります。
南青山矯正歯科クリニックではマウスピース矯正の事前相談にて、従来の歯列矯正と比べて治療のメリットとデメリットについては、しっかりご説明させていただいております。患者様には、治療に対するご不安などを取り除いてから、治療に取り組んでいただく事が重要だと考えております。
マウスピース矯正について、疑問やご不安などありましたら診察にてご相談ください。