歯の再建とは
歯の欠損状態
歯の再建とは、何らかの原因で歯が失われたときに、主に咬合を考慮して製作された人工歯で歯を補う歯科治療です。歯は通常、欠損を自然回復することができないため、顎骨に埋入したインプラント体に人工歯を被せたり、残存歯を利用した補綴物を用いた治療、可撤式の義歯と呼ばれる人工歯や装置で歯や形態を補います。
歯の欠損の程度や位置、残存歯などの状態によって、再建方法の適応が変わってきます。
歯がない状態(欠損歯)とは
歯がない状態(欠損歯)とは、何かしらの原因で歯が失くなる状態をいいます。天然の永久歯は通常上顎14本、下顎14本、合計28本が存在します。親知らずがある方だとプラス上下顎で4本、合計32本ある方もいらっしゃいます。
歯の構成としては上下前歯8本、上下犬歯4本、上下小臼歯8本、上下大臼歯8本となります。このいずれかが失くなった状態が欠損となります。
痛みを伴わなければ、歯を失ってもすぐに不自由はないかもしれませんが、放置することで様々な悪い影響が予想されます。歯を失ったら、早期の診断と治療が重要です。
歯がない状態(欠損歯)の症状とリスク
歯がない状態
歯を失うと、その歯だけではなく、周囲の歯にも影響がでてきます。時間が経つほどに様々な悪い影響を与え、治療方法も複雑になります。そのため、歯を失った場合は、ショックも大きいですが、早期治療を検討するようにしましょう。
歯の欠損状態初期でのリスク
歯を失ってすぐに起きることは、欠損部分で食べ物が噛めなくなります。さらに食事をする際に物を噛みにくくなったり、食べ物などが挟まりやすく、清掃不良も起こしやすくなります。これにより、虫歯や歯周病のリスクが高まります。
この時点で直ちに歯の再建を選択すると、失った部分だけで改善できることが多く、治療費や治療期間も短くてすむことが多いです。
歯の欠損状態を放置し続けるリスク
歯を失った状態を放置し続けてしまうと歯があった部分の骨が痩せ、失った歯の隣の歯が空いたスペースに向かって倒れてきます。失った歯と噛み合っていた反対側の歯が、空いたスペースに向かって落ちてきたり伸びてきたりします。それにより、上下の咬み合わせが変わり歯並びを悪くする原因にもなりえます。
咀嚼効率が下がり、胃や食道など消化器官への負担が大きくなります。また、発音の際に空気が抜けたりして、発音しづらくなったりします。さらに、歯のないほうの唇や舌、顎の筋肉が発達することもあります。これにより顔面の左右非対称が発生することもあり、顔のゆがみや、頭痛、肩こり、頬のシワが深くなるなど、歯以外にも影響を及ぼすこともあります。
症状が悪化してから歯の再建をしようとするには、動いてしまったそれ以外の部分も治療する必要がでてくるため、当初失った1本だけの治療ではすまず、長期間治療で治療費が高額になるケースが多いです。
歯の喪失の原因
虫歯・歯周病
歯の喪失の主な原因は、次の3つです。
①虫歯による歯の欠損
虫歯が進行すると、歯冠だけではなく歯根まで崩壊します。最終的には、抜歯をせざるを得なくなります。
②歯周病による歯の欠損
歯周病は、歯を支えている歯肉と歯根膜、歯槽骨が破壊される病気です。重症化すると、歯を支えきれなくなり、抜歯が適応されます。
③外傷による歯の欠損
交通事故やスポーツなどで、顔面に強い衝撃を受けると、歯に損傷を受け歯が抜ける、または歯冠を大きく欠損している場合には、治療方法として抜歯が選択されることがあります。とくに前歯は外傷による影響を受けやすいです。
歯の再建治療
歯を再建するには、ブリッジ、入れ歯、インプラントと3つの治療法があります。これらの治療は、歯の欠損、残存歯など口腔内の状態によって選択肢が変わります。
インプラントによる歯の再建
インプラントは、失った歯単体で再建する方法です。失った歯の歯茎と骨に外科手術で穴をあけ、専用金属のネジを打ち込みます。ネジの部分が歯根の代わりとなるので、その頭に差し歯を被せ、歯の頭を再建します。単体で再建するため、それ以外の部分に触る必要がなく、失った歯の本数に関わらず治療をすることができます。
他の再建治療と比べ噛み心地がしっかりとしていて、自分の歯のように噛めるのが特徴ですが、保険診療外の治療で1本あたりの目安が30万~50万と高額治療となります。治療期間は、およそ6か月から1年程度と比較的長めでしょう。
欠点としては外科手術のため、全身疾患がなく健康な状態なのか、口の清掃状態が綺麗に保つことのできる環境か、支える骨は十分にあるかなど、適応に制限があります。治療箇所によっては、骨がなく適応外となる方もいらっしゃいます。治療後は天然歯に比べ、歯周病になりやすく、定期的な歯科医院でのプロケアは必須です。