バッカルコリドーとは?できてしまう原因と改善するための治療法
笑ったとき、歯はきれいだけれど何かが足りない、口の形はきれいだけれど口元が暗く見える。何か惜しい…。
このような場合は、前歯と口角の間にできる隙間「バッカルコリドー」に原因があるかもしれません。
美しい笑顔にはいくつもの要素がありますが、“何もない空間”も実は美しい笑顔に関係します。
この記事では、美しい笑顔とバッカルコリドーの関係や審美的なバッカルコリドーを得る方法などを解説します。
この記事を読むことで、バッカルコリドーの定義や関係する要素、理想的なバッカルコリドーを得る方法などを理解でき、下記のような疑問や悩みを解決します。
こんな疑問を解消!
- バッカルコリドーの定義
- バッカルコリドーの大きさを決定づける要素
- バッカルコリドーを改善する方法
バッカルコリドーとは?
聞き慣れない言葉ですが、バッカルコリドーとは何でしょうか?
バッカルコリドーとは、スマイル時に上顎の歯の頬側面(表から見える面)と口角との間にできる隙間のことを言います。
バッカルコリドー自体は程度の差こそあれほとんどの人にありますが、バッカルコリドーの広い範囲に影が落ちて暗くなると“暗いバッカルコリドー”と呼ばれる状態になり、審美的にマイナスになるとされています。
バッカルコリドーはFrabiani Mにより分類され、ワイド、ノーマル、欠如の3タイプがあるとされています。
調和のとれたスマイルであれば、バッカルコリドーはワイドかノーマルのどちらかのタイプになるとされ、バッカルコリドーが欠如のタイプでは人工的な、不自然な印象になってしまうとされています。
バッカルコリドーと関連し、正面から見える歯は第二小臼歯(前から5番目の歯)までが理想とされています。
審美的な治療をする際にはバッカルコリドーの幅も評価して行うことになります。
バッカルコリドーが大きくなる原因
バッカルコリドーが大きくなると“暗いバッカルコリドー”ができやすくなります。
バッカルコリドーの大きさを決める要素を挙げていきます。
歯列弓の幅
歯の並び(歯列)全体を歯列弓と呼びます。
上顎の歯列弓の幅が狭いとバッカルコリドーが大きくなりやすく“暗いバッカルコリドー”ができやすくなります。
全体的に歯列弓の幅が狭くなるパターンのほか、片側が特に狭くアンバランスになるパターンもあります。
歯列弓の幅が狭くなる原因はさまざまで、生まれつき上顎が全体的に狭い場合もあれば、成長期のクセで片側が押しつぶされるように狭くなった場合もあります。
歯の傾斜
歯には理想的な生える向きや位置がありますが、必ずその向きや位置に生えてくれるわけではありません。
頬側や舌側に傾いて生えてきたり(歯の傾斜)、極端な場合には90°~180°回転して生えてくることや(歯の捻転)、本来生える位置からずれた位置に生えること(歯の転位)もあります。
歯の傾斜、特に舌側(内側)への傾斜があるとそのぶんバッカルコリドーが大きくなります。
歯の捻転があると、ほかの歯が捻転した歯に押し出される形で傾斜して生えたり、ずれた位置に生えたりすることが多くなり、バッカルコリドーの大きさに影響します。
歯の転位があると歯列全体が影響を受けることが多く、また、歯の転位があるときは歯列弓の幅が狭いことも多いため、バッカルコリドーが大きくなりやすくなります。
口と歯列の関係
ここまでは歯列と歯を見てきましたが、バッカルコリドーは「上顎歯の頬側面と口角との隙間にできる空間」なので口の形にも影響されます。
スマイル時の口角の位置によってもバッカルコリドーの見え方は変わり、口角が上がるようになるとバッカルコリドーが大きく見えるようになります。
バッカルコリドーの改善方法
審美的なバッカルコリドーを得るためには、歯列の幅や歯の傾斜など、いくつかの要素を満たす必要があります。
その要素を満たす方法は主に以下のものになります。
歯列矯正
歯列弓の幅や歯の傾斜、捻転、転位の改善には歯列矯正がファーストチョイスになります。
歯列矯正では理想的な位置や角度に歯を整えることができるため、「暗いバッカルコリドー」を改善し審美的なバッカルコリドーを自分の歯のみで獲得できる可能性があります。
逆に、歯列矯正以外の方法では歯の位置や傾斜の方向(歯軸)の制約によってできることに限界があるほか、往々にして歯を削る必要が出てきます。
歯列矯正をするときは、歯並びや咬み合わせの改善が治療のきっかけになることが多いですが、歯列矯正は仕上がりの美しさもまた大事なゴールであり、その中に調和のとれたバッカルコリドーも含まれ、口元をトータルコーディネートする方法とも言えます。
セラミックでの補綴
歯列矯正は費用や時間などの関係で行えない場合、いわゆるセラミック矯正の要領でバッカルコリドーの調和をはかる方法があります。
歯列矯正より短い期間で行えて、歯の変色や形態異常などがある場合には歯の見た目の改善も同時に行えるのが特徴です。
どんなときにでも使える手段ではなく、歯の生えている位置や傾斜の程度、捻転があるか、などの条件が問題ないと判断される場合に可能となります。
セラミックを用いたバッカルコリドーの改善には、ジルコニアやガラスセラミックスなどを用いたクラウン(歯全体の被せもの)で歯の形態、傾斜等を大きく変える方法と、ポーセレン(陶材)やガラスセラミックスをネイルのように歯の頬側(表側)に貼り付けるラミネートベニヤという方法があります。
クラウンで歯の形態を変える方法の場合は、本来の歯の位置や形が目指す歯と大きく異なるときは、クラウンを入れるために歯の神経を除去する(便宜抜髄)必要が出てくることがあります。
また、歯の根の向きとクラウンの向きが大きく異なってしまう場合には、咬み合わせの力によってクラウンを入れた歯がダメージを受けやすくなったり、ブラッシングが困難になり歯周病を起こしやすくなることもあります。
何らかの理由でセラミックスを用いる場合は、治療後のことも考えて担当医とよく相談するとよいでしょう。
【まとめ】バッカルコリドーとは?できてしまう原因と改善するための治療法
バッカルコリドーの定義や大きさに影響する要素、歯列矯正などでバッカルコリドーを改善する方法などを解説しました。
この記事では、下記のようなことが分かったのではないでしょうか。
ここがポイント!
- バッカルコリドーとは、スマイル時に上顎の歯の頬側面と口角の間にできる隙間のこと
- バッカルコリドーが大きくなると、口元が暗い印象になりやすい
- バッカルコリドーの大きさは、歯列弓の幅や歯の傾斜、笑ったときの口角の位置などに影響される
- 歯列矯正で歯列弓の幅や歯の傾斜・捻転・転位などを改善すると、バッカルコリドーの改善につながる
- セラミックを用いたバッカルコリドーの改善には、クラウンを用いる方法とラミネートベニアという方法がある
美しい笑顔には歯の色や形、口元の黄金比などさまざまな要素が絡みます。
バッカルコリドーもそのひとつで、意外なほど口元の明るさに影響します。
バッカルコリドーは、大きすぎても小さすぎても審美的にはならないため、程よいところを目指すことになります。
「笑顔が暗いかも?」とお悩みの方は、ぜひ当院の診察にてご相談ください。
南青山矯正歯科クリニックでは、女性歯科医師がしっかりと患者様のお悩みをお伺いし、診断をしたうえで最適な治療法をご提案させていただきます。