インビザライン矯正後の保定期間はどのくらい?リテーナーの装着時間も解説
マウスピース(アライナー)で歯列不正を改善させるインビザラインも、ワイヤーで歯を移動させるマルチブラケット矯正と同じく、治療後に後戻りを起こす可能性があります。
後戻りを防ぎ、矯正治療で整えられた歯列の状態を長期に渡り維持するためには一定期間の保定が不可欠で、そのために使われるのがリテーナー(保定装置)と呼ばれる矯正装置です。
この記事では、インビザラインの矯正治療が終わった後の保定期間やリテーナーの種類などを中心に解説します。
この記事を読むことで、インビザライン矯正後の保定期間の重要性、およびリテーナーの使い方が理解でき、下記のような疑問や悩みが解決します。
こんな疑問を解消!
- どうして保定が必要なのか?
- インビザラインの保定期間がどれくらいか?
- インビザラインのリテーナーの種類
- インビザラインのビベラリテーナーとはどのようなリテーナーなのか?
- インビザラインのリテーナーの装着時間
矯正治療後の保定について
矯正治療後の次の段階が保定です。
まず、矯正治療での保定について解説します。
避けられない矯正治療後の後戻り
矯正治療を終えた後、インビザラインの場合はマウスピースですが、矯正装置を除去すると、整った歯が再び元の歯列に戻ろうとする傾向があります。
これを後戻りと呼んでいます。
この理由は、矯正治療前の歯列不正は歯とその周囲の組織がそれなりに均衡を保たれていた状態であり、矯正治療の結果、その均衡が崩され元の均衡した状態に戻ろうとするからです。
このため、矯正治療後に後戻りが生じるのは避けられないと考えられています。
保定について
矯正治療後に後戻りを起こしてしまうと、矯正治療の意味がなくなります。そこで後戻りを起こさないようにする必要があり、その処置が保定です。
保定は、矯正治療後の新しい口腔内の環境に身体が順応するまで続ける必要があります。
したがって、保定は矯正治療の成否を左右することから、矯正治療後の最終処置としてとても重要です。
特に後戻りに注意がいる時期
矯正治療を終えた後は、いつでも後戻りを起こしやすいのですが、特に起こしやすいとされるのが、治療が終わって6か月ほどの期間です。新しい歯列に身体が十分馴染んでおらず、自然に元の状態に戻ろうとするからです。
治療終了から半年も経てば身体が新しい歯の位置に馴染んでくるので、それまでの間は特に注意して保定を継続しなければなりません。
インビザライン矯正後の保定期間について
続いて、インビザライン矯正後の保定について解説します。
保定期間について
矯正治療後の保定は、新しい上下の歯の咬合状態とそれに基づく下顎の運動を身体が覚え、歯列に影響する悪習慣、不良習癖、そして口腔周囲筋が順応するまで続けなければなりません。これはインビザラインも同様で、インビザライン後の保定期間は前述の状態が完了するまでの期間となります。
具体的な保定期間については、悪習慣や不良習癖はいつ再発してもおかしくないので、一生続けるのが理想的です。しかし、一生を保定期間とするのは現実的に難しく、おおむね身体が新しい歯や口腔の状態に順応する2〜3年ほどとすることが多いです。
もちろん、歯や口腔の状態によっては、さらに長期に及ぶこともありますから、詳しくは主治医と相談することになります。
保定期間中も定期的な通院を
保定を続けている間、定期的に歯科医院で歯列の状態を診察してもらう必要があります。後戻りを起こしていても、定期的に診察してもらっていれば、早期発見、早期対処できるからです。
また、リテーナーに問題が生じていても、歯科医院で診てもらっていれば、早く気づけます。
インビザライン矯正後のリテーナーの種類
インビザライン矯正後の保定に用いるリテーナーについて説明します。
可撤式リテーナー
可撤式リテーナーは、ご自身で取り外しができるリテーナーです。
マウスピースタイプ
インビザラインでは、ビベラ(vivera)リテーナーというマウスピースタイプのリテーナーがラインナップされています。
矯正治療で使っていたマウスピースと同じく、ビベラリテーナーも矯正治療の元データであるクリンチェックのデータから作られます。
ビベラリテーナーは矯正治療中のマウスピースより強度が強く作られているので、装着感が強めになっています。
プレートタイプ
プレートタイプのリテーナーは、プレートと呼ばれる薄いピンク色のプラスチックの部分に歯に引っかけるワイヤーがついた構造をしています。
プレートとワイヤーの両方の働きで歯を押さえて、歯並びが元に戻らないようにします。
固定式リテーナー
固定式リテーナーは、歯に接着する取り外せないリテーナーです。
固定式リテーナーにもさまざまな種類がありますが、犬歯間保定装置という前歯の舌側(裏側)に細いワイヤーを接着するタイプが一般的によく用いられます。
犬歯間保定装置は前歯につけますが、つけるのが歯の裏側なのでなかなか見えませんし、接着しているので24時間保定効果を保つことができます。
リテーナーの装着時間
続いて、リテーナーの装着時間について説明します。
可撤式リテーナー
可撤式リテーナーは、矯正治療が終わってから少なくとも数か月間は、インビザラインの治療中と同じく1日20時間以上装着することが求められます。夜だけでは、効果が不足しますのでご注意ください。
その後の装着時間は、元の症状などによって差がありますので、主治医と相談しながら進めていきます。
固定式リテーナー
固定式リテーナーは取り外せないため、24時間装着し続けることになります。
可撤式リテーナーと異なり、薄くコンパクトなため24時間つけ続けても、食事や会話など日常生活に影響することはありません。
ビベラリテーナーについて
最後にインビザライン専用リテーナーである、ビベラリテーナーについて紹介します。
特徴
ビベラリテーナーの特徴は、快適さ、高耐久性、高審美性です。
インビザラインのマウスピースと同様に、歯列に適合させて製作されますので、歯への適合感も高く、歯肉にも影響しません。また可撤式なので、食事やブラッシング時には外せますから、衛生面でも優れています。
強度の面では、インビザラインで矯正治療に使うマウスピースよりも3割ほど強度を高めてあるので、長期にわたり使用できる耐久性を有しています。
その他のリテーナーと比較して、高い透明度、薄さの点でも優れており、着けていても目立ちません。
適応
ビベラリテーナーは、インビザラインでの治療後だけでなく、その他の矯正治療を終えた後のリテーナーとしても利用できます。
年齢性別に制限もなく、子供から成人まで幅広い年齢層の保定に適応があります。
【まとめ】インビザライン矯正後の保定期間はどのくらい?リテーナーの装着時間も解説
インビザライン矯正後の保定期間や保定装置について解説しました。
この記事では、下記のようなことがご理解いただけたのではないでしょうか。
ここがポイント!
- インビザラインの矯正治療後の保定の意義
- インビザラインの保定期間は一生が理想だが一般的に2〜3年程度
- 特に矯正治療後6か月以内は後戻りを起こしやすい
- リテーナーは可撤式と固定式に分けられる
- インビザラインには優れた特徴を有するマウスピース型リテーナー“ビベラリテーナー”がある
- 可撤式リテーナーは1日20時間以上装着する必要がある
従来の矯正治療と全く異なるアプローチで歯列不正を改善させるインビザラインも、矯正治療を終えた後は後戻りが生じる可能性があります。そこでインビザラインも矯正治療後は、保定を行うことで後戻りを防ぎ、長期にわたって整えられた歯列の状態を長く維持するようにします。
このことから、インビザライン後の保定は矯正治療の成否を左右するとも言えます。
インビザライン後の保定について、もしくは後戻りについて、ご質問や不安のある方は、まずは当院の診察にてご相談ください。