マウスピース矯正を用いた出っ歯の矯正は可能?
「出っ歯なのが気になる」という歯の悩みは多いです。
しかし、出っ歯になる原因はひとつではないため、治療にもいろいろなアプローチがあります。
この記事では、マウスピース矯正による出っ歯(上顎前突)の治療について解説します。
この記事を読むことで、出っ歯の治療方法やマウスピース矯正の限界などを理解でき、下記のような疑問や悩みを解決します。
こんな疑問を解消!
- マウスピース矯正による出っ歯の矯正の可否
- 出っ歯を治療する方法
- マウスピース矯正の限界
- ワイヤー矯正が適応となる場合
マウスピース矯正による出っ歯の矯正はできる場合と難しい場合がある
結論から言うと、マウスピース矯正での出っ歯(上顎前突)の治療はできる場合と、難しい、やめた方がいい場合の両方があります。
治療にあたり必要な歯の移動量がある程度の範囲内に収まっている、骨格的な問題がない、咬み合わせの関係が許容範囲内であるなどの条件を満たせばマウスピース矯正でも治療は可能になります。
出っ歯(上顎前突)の治し方
上顎前突の治療について見てみましょう。
上下顎に骨格的な問題がない場合を前提としますが、基本的には何らかの方法で前歯を並べるためのスペースを確保し、そこを使って前歯を引っ込めさせるという考え方になります。
ストリッピング(ディスキング)
犬歯から反対側の犬歯までの中で、最大で計6本の前歯のエナメル質(歯の一番外側の硬い結晶の層)の一部を紙やすりのようなもので削り取り、スペースを確保するやり方です。
言い換えれば前歯を細くして並べようとする方法です。
エナメル質を削り取るので、やりすぎると知覚過敏やう蝕のリスクがあるため確保できるスペースには限度があり、おおむね5〜6mm程度が限界です。確保できるスペースの関係から大きく引っ込めることはできませんが、軽度の上顎前突であればこの方法で対応できます。
マウスピース矯正では主にこの方法で治療することになります。またマウスピース矯正、ワイヤー矯正どちらでも、この方法で治療することが可能です。
抜歯矯正
前歯を下げるのに必要十分なスペースがストリッピング(ディスキング)では得られない場合、抜歯をすることでスペースを確保し、矯正を行う方法です。
通常は小臼歯という小さめの奥歯を左右1本ずつ抜歯します。
抜歯により片側で約7mm、両側で合計約14mmのスペースが確保されるため、大きく前歯を引っ込めることができます。また、前歯に捻転(ねじれた生え方)がある場合は捻転を改善しきれいな並びにしたうえで引っ込めることができます。基本的にはワイヤー矯正で行う治療になります。
マウスピース矯正での限界
マウスピース矯正で上顎前突の治療をする場合は、基本的にはストリッピング(ディスキング)を用いることになります。そのため確保できるスペースが少なく、治療後に「思ったより引っ込まなかった」ということが起こり得ます。
また捻転の改善もいっしょに行う場合には、ストリッピング(ディスキング)で得られたスペースを余計に消費することになり、捻転の程度や歯数によっては捻転の改善だけでスペースを使い切ってしまい前歯を引っ込められないという場合もあります。
抜歯矯正については、アタッチメントを用いることで抜歯矯正も可能とするマウスピース矯正のシステムもありますが、どんなケースでも適用できるわけではありません。
マウスピース矯正での歯の移動の特性として、基本的には傾斜移動であり、短い距離の移動ならできますが、長い距離を移動させられる歯体移動(歯全体の平行移動)が困難というものがあります。
抜歯矯正の場合は左右1箇所ずつ大きくあいたスペースに前歯を左右3本ずつ動かすことになります。そのため1歯あたりの移動距離が大きいので歯体移動が必要になりますが、先の理由からマウスピース矯正単独では十分に行えない可能性があります。
また、前歯を動かすときには奥歯がアンカーの役割を担いますが、マウスピース矯正では奥歯に十分なアンカーの力を維持できず、前歯だけでなく奥歯も動いてしまうことがあります。その場合にはマウスピース矯正での修正は困難で、ワイヤー矯正での治療が必要になります。
このように、上顎前突の治療にマウスピース矯正単独では大きな移動量が必要な場合には限界があります。
ワイヤー矯正が確実な場合がある
マウスピース矯正では治療が難しい場合でも、ワイヤー矯正であれば可能な場合は多くあります。
基本的に必要な移動量が大きい場合には、ワイヤー矯正が確実と考えてよいでしょう。
自分の場合はマウスピース矯正でも可能なのか、ワイヤー矯正にした方が良いのか気になるのであれば一度相談してみるとよいでしょう。
【まとめ】マウスピース矯正を用いた出っ歯の矯正は可能?
出っ歯(上顎前突)の治療方法やマウスピース矯正の限界、ワイヤー矯正が適している場合などを解説しました。
この記事では、下記のようなことが分かったのではないでしょうか。
ここがポイント!
- マウスピース矯正による出っ歯の矯正は、歯の移動量や骨格の状態、噛み合わせなど一定の条件を満たせば可能
- 出っ歯の治療方法としては、ストリッピング(ディスキング)と抜歯矯正がある
- マウスピース矯正による出っ歯の矯正では、主にストリッピング(ディスキング)で治療
- 抜歯矯正は基本的にワイヤー矯正で行う
- 歯の移動量が大きい場合、マウスピース矯正のみで出っ歯を治療するのは困難
- マウスピース矯正で治療が困難な症例でも、ワイヤー矯正で対応できる場合がある
上顎前突の治療は歯の移動量が大きい場合が多く、マウスピース矯正では満足いく結果が得られづらかったり、ワイヤー矯正のほうが適する場合も少なくありません。しかし、条件によってはマウスピース矯正で治療できる場合もあります。
南青山矯正歯科クリニックでは、マウスピース矯正とワイヤー矯正の両方に対応する女性歯科医師が常勤しております。そのため、マウスピース矯正だけでなく、ワイヤー矯正を併用した出っ歯の改善といった提案も可能です。
出っ歯の矯正を検討中の方は、まずは女性歯科医師による診察・相談にお越しください。治療に関する疑問やご不安など、丁寧にお話しさせていただきます。