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噛むと歯が痛いのは噛み合わせの問題?痛みの原因と対処法を解説

噛むと歯が痛いのは噛み合わせの問題?痛みの原因と対処法を解説

普段は何ともないのに、咬むと突然、歯に痛みが走る。
そんな時、原因の根底には歯並びと咬み合わせが関係している可能性があります。
では、どのような歯並びや咬み合わせの場合に痛みが出るのでしょうか。

このコラムでは、咬んだ時の歯の痛みの原因と対処法を解説します。また、その原因と歯並び・咬み合わせの関係についても、解説していきます。
このコラムを読むことで、咬んだ時に生じる突然の歯の痛みの原因について理解でき、下記のような疑問や悩みを解決します。

こんな疑問を解消!

  • 虫歯じゃなくても、咬んで痛いことがあるの?
  • 咬んだ時に歯が痛い原因が、歯並びにあるって本当?
  • 歯並びが悪いのは、見た目だけの問題じゃないの?

目次

咬んだ時に歯が痛む原因

普段は何ともないのに、咬んだ時に痛みを感じる原因として、次のようなものが考えられます。

  • う蝕(虫歯)
  • 歯髄炎
  • 歯周病
  • 智歯周囲炎
  • 上顎洞炎
  • 咬合性外傷
  • 歯の破折

まずは、それぞれの痛みの原因とその対処法(治療法)について、みていきましょう。

う蝕

う蝕とは、細菌の出す酸によって歯の組織が溶かされ、欠損を生じることをいいます。
歯は表面から中心部に向かってエナメル質、セメント質、象牙質、歯髄で構成されています。
咬合面・歯根・隣接面など、う蝕がどの部位にどこまでの欠損を生じるかによって、痛みの感じ方は異なります。「何もしない時には痛みがなく、咬むと痛い」という場合には、咬合面に中等度の歯質欠損が生じている可能性が考えられます。
咬むことによってその欠損部位に食物などが入り込み、歯の内部を圧迫することによって歯髄へ刺激が伝わり、痛みを生じるのです。

対処法

う蝕が深部へ進行してしまう前に、早めにう蝕の治療を行います。
う蝕の原因細菌によって感染してしまった歯質を取り除き、コンポジットレジンや金属、セラミックなど、欠損部の大きさに合わせた詰め物や被せ物で補填していきます。
それによって、歯髄へ刺激が伝わらないようにすると共に、歯としての形態を整え、機能も回復していきます。

歯髄炎

う蝕や外傷などによって、歯髄に刺激が伝わり神経が過敏に反応することや、歯髄内に炎症が生じることを歯髄炎といいます。
初期の段階では、咬合時の刺激や冷温刺激などのきっかけで一瞬ズキッと痛みが走り、それがすぐにおさまるといった、いわゆる一過性の痛みを生じます。
歯髄炎が進行していくと、何もしなくてもズキズキとした痛みを生じるようになっていきます。

対処法

初期の歯髄炎であれば、原因がう蝕の場合は、う蝕の治療を行うことで症状を落ち着かせていきます。外傷による刺激が原因の場合は、出来るだけ患部を安静に保つことで、歯髄に生じた炎症を抑えることができる場合もあります。
しかし、歯髄炎が進行し、刺激の後で痛みが長く続く、または何もしなくても痛い、といった状態になった場合は、歯髄を取り除く「根管治療」が必要になってきます。

歯周病

歯周病とは、歯周病原性細菌によって歯肉に炎症を生じ、それが歯周ポケットを伝って歯肉の深部や歯を支える歯槽骨、歯と歯槽骨を繋ぐ歯根膜などを破壊していくことによって生じます。それによって、冷たいものがしみる、歯肉が腫れる、出血する、歯がグラグラ揺れるといった症状が認められるようになります。
歯を支える組織がダメージを受けるので、歯周病が進行すると咬んだ時に歯をしっかりと支えることが出来なくなります。その結果、歯がグラグラと揺れるようになったり、咬んだ時に痛みを生じたり、といった症状が出てくるのです。

対処法

歯周病は、歯周病性細菌による感染性炎症性疾患です。
歯科医院にてブラッシング指導を行い、細菌の塊であるプラークが蓄積しないよう、毎日の口腔内清掃(セルフケア)を自分でしっかり行っていくことが出来るようにしていきます。それと並行して、歯石の除去やポケット深部の機械的清掃などといった専門的なクリーニング(プロフェッショナルケア)を歯科医院にて行う必要があります。
歯周病の進行度合いによっては、歯周外科治療や抜歯が必要になることもあります。
症状が改善したあとも、定期的なメインテナンスを継続することが重要です。

智歯周囲炎

智歯周囲炎とは、第三大臼歯(智歯、親知らずとも呼ばれる)の周囲組織に炎症を生じた状態をいいます。
第三大臼歯は、永久歯列の最後方に生えてくる永久歯です。歯列の一番奥に位置するので、歯ブラシの毛先が届きにくいという難点があります。また、昔の骨格と比較して、現代人の顎の骨格はきゃしゃで小さい傾向にあるため、第三大臼歯が萌出するスペースが足りないことが多いのが現状です。
そのため、第三大臼歯が萌出するスペースが足りずに斜めに生えてくることや、歯の一部分のみが中途半端に萌出することなどが多くなります。それによって、よりいっそう清掃が困難となり、第三大臼歯周囲に炎症が生じやすくなります。咬んだ際、腫れている歯肉に歯が当たってしまうことで痛みを生じることもあります。
智歯周囲炎はそのまま放置していると、炎症が広がり何もしなくてもズキズキとした痛みを出すことがあります。

対処法

第三大臼歯が歯列にきれいに納まって萌出している場合は、他の歯の歯周病と同じように対処していきます。
萌出スペースが足りずに一部分だけ萌出していることや、隣接する歯に引っ掛かって斜めに生えていることなどで、隣在歯のう蝕・歯周病リスクを上げてしまうこともよくあります。
そのような場合は、投薬などにより一旦炎症を落ち着かせた上で、抜歯していくことがあります。炎症が軽度な場合は、炎症部位の洗浄及び投薬で炎症を抑えて様子をみる方法もあります。
しかし、智歯周囲炎は体調不良の時や、妊娠中などでホルモンバランスが乱れやすい時期などに繰り返して症状が発現しやすいので、注意が必要です。

上顎洞炎

上顎洞炎とは、鼻の横、目の下にある上顎洞と呼ばれる空洞内部に炎症が生じることをいいます。蓄膿症とも呼ばれます。
症状としては、鼻がつまる、黄色い鼻水(膿)が出る、頭や頬の辺りが重く感じることや、運動時の違和感、頭痛、咬んだ時に痛みを感じることもあります。
原因としては、風邪やアレルギーなど、鼻の症状から生じる鼻性上顎洞炎と、進行したう蝕や歯周病で生じる歯性上顎洞炎の2種類が挙げられます。

対処法

まずは、レントゲンやCTなどの画像診断や口腔内診査で、原因がどこにあるのかを診断します。
歯に原因がある場合は、上顎洞内の炎症を抗生物質で抑えながら原因歯の治療を行います。上顎洞炎が進行してしまうと、原因歯の抜歯や外科的な上顎洞内の処置が必要になる場合もあります。

咬合性外傷

咬合性外傷とは、歯と歯が咬み合う際に強すぎる力が歯へと加わり、歯や歯を支えている歯肉や歯槽骨、歯根膜といった歯周組織が損傷を受けることをいいます。
咬合性外傷は、2つの種類に分けられます。

一時性咬合性外傷

健康な歯周組織に生じるものです。歯周組織は健康な状態であるにも関わらず、強い咬み合わせの力によって、歯周組織が損傷を受けることをいいます。
歯ぎしりや食いしばり癖が原因となることが多いのですが、詰め物や被せ物の形や高さが合っていないことが原因で生じることもあります。また、不正咬合によって、特定の歯ばかりに咬合力が集中してしまうことにより生じることも少なくありません。

二次性咬合性外傷

主に歯周病などによって歯周組織が弱くなっているところに咬合力が加わることにより、大きな損傷を受けることをいいます。
二次性咬合性外傷は、歯周病の進行を急激に早める要因にもなります。

対処法

まずは、咬み合わせの調整を行います。
特定の歯に負担がかかっていないかを確認し、全体的に咬合力を負担できる咬み合わせになるよう、調整を行っていきます。高さの合っていない補綴物がある場合は、再治療を行う必要があります。
歯ぎしりや食いしばりは、自分の体重の2~5倍の力が歯にかかるといわれています。歯ぎしりや食いしばりの癖が考えられる場合は、マウスピースを製作して、歯にかかる咬合力の軽減を図る必要があります。
不正咬合や喪失歯が多い場合は、どうしても特定の歯への負担が大きくなってしまう場合もあります。

歯の破折

歯が折れていたり、ひびが入っていたりすると、咬んだ時に痛みを感じます。
歯根は歯周組織によって周囲をガードされているため、歯根が破折していても、見た目としては気が付かない場合もあります。

対処法

まずは、歯に破折、ひびなどが入っていないかを確認していきます。歯根破折の可能性がある場合は、外側から見ても判らないため、レントゲンなどの画像診断を行っていく必要があります。
破折の箇所や大きさによっては、抜歯の必要があります。また、咬合性外傷が原因で、破折が生じることもあります。

咬んだ時の歯の痛みと、歯並び・咬み合わせの関係

歯列不正が咬合時の痛みにどのように関与しているのかをみていきましょう。

歯列不正により、歯本来の役割を果たせない場合

歯には、それぞれの役割があり、それによって歯の形態が異なっています。前歯は、食べ物を捕捉する、咬み切る役割があり、見た目や発音などにも大きく関わっています。臼歯は、食べ物をすり潰し、飲み込みやすくし、消化を助ける役割を担っています。
前歯が咬み合わない場合は、食物を咬み切ることが出来なくなります。それによって、食べ物が大きな塊のまま口腔内に入ることとなり、臼歯に大きな負担がかかります。
臼歯が咬み合わない場合は、食べ物をすり潰すことが出来ないので、その代わりに前歯で出来るだけ小さく噛み切って飲み込むような食べ方になりがちです。すると、前歯に大きな負担がかかります。
このように、一部の歯に負担が集中することより、咬合性外傷や歯の破折などのリスクが高くなります。また、歯列の中でも犬歯は特別な役割を担っています。
犬歯は歯並びのアーチの曲がり角に位置します。
前歯としての役割だけではなく、食物をすり潰す際の下顎を左右に動かす側方運動と呼ばれる動きを調整する役割があるのです。これを、犬歯誘導といいます。犬歯誘導には、上下の犬歯が正しい位置でしっかり咬み合っていることが重要です。歯列不正によって犬歯が咬み合わない場合は咬合が不安定になり、咬合性外傷や顎関節症なども生じやすくなります。

咬合痛のリスクを増大させる歯列不正

不正咬合の種類によっては、咬合痛のリスクを増大させるものがあります。
ここでは、主な不正咬合である叢生・開咬・過蓋咬合の3つの不正咬合について説明していきます。実際は様々な不正咬合が混在していることが多く、咬合時の痛みに繋がるような歯列不正が存在するのかどうかを、ひとりひとりのお口の中で診査・診断していく必要があります。

叢生

叢生とは、歯の大きさに対して顎の大きさが小さいために、歯が正しい歯列に入りきれずに重なったりねじれたり、デコボコに生えている状態のことをいいます。
歯と歯が互いに重なりあっている、歯がねじれたり、傾いたりして生えているといった状態では、歯と歯の間や、歯と歯肉の間に歯ブラシの毛先が届きにくく、清掃が困難になる部位が出てきます。それによって、食物残渣やプラーク、歯石がたまりやすくなり、その結果、う蝕や歯周病のリスクが高くなるのです。
また、咬み合わせのバランスも崩れ、特定の歯に負担がかかりやすくなります。その結果、咬合性外傷のリスクが高まります。

開咬 オープンバイト

開咬とは、臼歯をしっかり咬んだ際に、上下の前歯~小臼歯が咬み合わず、隙間が空いてしまう状態のことをいいます。前歯が咬み合わないので、食べ物、特に麺類などを噛み切ることが出来ず、また、サ行の発音がしにくいことが多くあります。
臼歯の負担が大きくなることも特徴の1つで、咬み合うことのできる臼歯の本数が少なければ少ないほど、臼歯の咬合性外傷にも繋がりやすくなります。
また、咬み合わせに参加出来ていない歯は、咬むことで生じる食物や唾液などの自浄作用が及ばないことも多く、プラークなどが付着しやすくなります。使われずに部屋の片隅に置きっぱなしになっている家電が、埃をかぶっていくのと同じですね。これによって、う蝕や歯周病のリスクが上がります。

過蓋咬合 ディープバイト

正常咬合では、上の前歯が下の前歯より前方に位置し、下の前歯の上部2~3㎜を覆っています。
過蓋咬合とは、臼歯でしっかりと咬んだ時に、前歯の咬み合わせが深すぎるために、下の前歯が上の前歯に隠れて見えなくなるような状態のことをいいます。過蓋咬合の場合、咬み合わせの負担が大きくなります。また、前歯の咬み合わせが深すぎるために、下顎の側方運動が行いにくく、顎関節の可動域を狭めてしまうことによる顎関節症のリスクが高くなります。

【まとめ】噛むと歯が痛いのは噛み合わせの問題?痛みの原因と対処法を解説

咬んだ時の歯の痛みの原因と、歯並び・咬み合わせの関係について、解説しました。
このコラムでは、下記のようなことが分かったのではないでしょうか。

ここがポイント!

  • 何もしない時は痛みがないのに、咬むと痛みが生じる原因としては、う蝕・歯髄炎・歯周病・智歯周囲炎・上顎洞炎・咬合性外傷・歯の破折などが考えられる
  • 歯にはそれぞれの役割があり、歯列不正によって、その役割が果たせなくなると、咬み合わせのバランスが崩れ、その結果として咬合時の痛みに繋がることがある
  • 歯列不正によって、う蝕・歯周病・咬合性外傷のリスクが増大し、その結果として咬合時の痛みに繋がることがある

「歯並びが悪い」ということは、単に見た目だけの問題ではありません。
歯並びは、食べることや発音などに大きく関与し、咬んだ時の痛みの原因にもなるのです。「咬むと歯が痛い」と感じている方は、咬み合わせについて見直してみることをおすすめします。
また、歯並びを改善することは、お口の中のトラブルのリスクを低下させ、自分の歯を大切にすることにも繋がります。

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