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歯を早く移動させるコルチコトミーを併用した歯列矯正

歯を早く移動させるコルチコトミーを併用した歯列矯正

矯正治療の治療期間は、2〜3年と長期に及ぶことが多いです。

その中で治療期間を短縮する方法のひとつとして、コルチコトミーという方法が開発されています。

この記事では、コルチコトミーを併用した歯列矯正などについて解説します。

この記事を読むことで、コルチコトミーの目的や特徴、術後の経過などについて理解でき、下記のような疑問や悩みが解決します。

こんな疑問を解消!

  • コルチコトミーとはどのような処置か
  • コルチコトミーのメリット
  • コルチコトミーのデメリット
  • コルチコトミーの術後経過
  • コルチコトミーの費用

目次

コルチコトミーとは

コルチコトミーとは、歯槽骨皮質骨切除術とよばれる外科手術の一種です。

歯槽骨は、内部の骨質の軟らかい海綿骨を骨質の硬い皮質骨で被覆する構造になっています。この歯槽骨の皮質骨を部分切除し、海綿骨に切削溝を形成する処置がコルチコトミーです。

歯列のどの部分に対してコルチコトミーを行うかは、歯列不正の症状によって異なります。歯列全体に行う場合もあれば、部分的に行うこともあります。

コルチコトミーの術式

コルチコトミーは、次のような術式で行われます。

  1. 局所麻酔(表面麻酔及び浸潤麻酔)
  2. 歯肉に粘膜骨膜弁の形成
  3. 歯槽骨に切削ラインを設定
  4. 歯根を避けて皮質骨に切削溝を形成
  5. 閉創

コルチコトミーの施術範囲によって差がありますが、1〜2時間程度の手術です。

静脈内鎮静法を併用することもあります。

コルチコトミーのメリット

矯正治療にコルチコトミーを併用すると、次のようなメリットが得られます。

治療期間の短縮

皮質骨は、骨の代謝の点から矯正治療に不可欠な骨吸収と骨増生が起こりにくい傾向があります。対して海綿骨は骨の代謝が活発で、矯正力を受けて骨吸収と骨増生が起こしやすいです。

コルチコトミーを受けることで、海綿骨に加えて、骨代謝の不活発な皮質骨の骨代謝も促進されるため、骨吸収と骨増生が活発化されます。この結果、歯の移動が促進され、矯正治療の治療期間を短縮できると言われています。

実際にどれくらい治療期間が短縮できるのかについては、具体的な期間を提示することは難しいですが、少なくとも数か月から1年ほど短縮する効果があると言われています。

歯根吸収のリスク低減

コルチコトミーを受けると、歯と歯槽骨が一体となって移動するため、歯根に過度な矯正力がかかりません。

このため、コルチコトミーを受けた症例では、矯正治療後の歯根吸収のリスクも少なくなります。

後戻りのリスク低減

前述したようにコルチコトミーの術後は、歯と歯槽骨の一体化した移動様式となるうえ、骨が再生する過程で骨質が改善されます。このため、矯正治療を終えた後の安定性が高くなり、後戻りを生じるリスクも軽減されます。

歯の移動範囲の拡大

皮質骨の一部が削除されることに伴い、歯の移動可能範囲が拡大します。

歯の移動に伴う痛みの軽減

矯正治療中の歯の移動に伴って発生する自発痛の原因は、骨の炎症反応です。

歯の移動方向の骨が圧迫されることで、同部に破骨細胞が作用して骨吸収を生じることによって、炎症が惹起されるからです。

コルチコトミーを行うことによる皮質骨の骨量減少に伴い、骨吸収量も減少しますので、骨の炎症反応も低減されます。このため、歯の移動に伴う痛みも軽減されます。

コルチコトミーのデメリット

コルチコトミーには優れたメリットがある反面、デメリットもあります。

マウスピース矯正は対象外

歯列矯正の治療法は、マルチブラケット矯正とマウスピース矯正が主流です。

コルチコトミーは、原則的にマルチブラケット矯正のみ併用可能です。

マルチブラケット矯正の詳細はこちら

手術侵襲

コルチコトミーは、局所麻酔下で行う外来小外科手術ですが、外科手術には変わりないため、手術侵襲が避けられません。したがって、既往歴やアレルギー歴などによっては受けられないこともあります。

歯肉退縮と歯根露出

フラップ手術などの歯周外科手術を受けた後に歯肉退縮が起こり、歯根の一部が露出することがありますが、コルチコトミーもフラップ手術の一種なため、同様のリスクがあります。

移動促進効果は有限

コルチコトミーで歯の移動促進効果が得られる期間は、歯槽骨が修復されるまでの期間です。そのため、歯列矯正が終わるまで移動促進効果が継続的に得られるわけではありません。移動促進効果が得られる期間には限りがあります。

歯根損傷のリスク

コルチコトミーで骨削除を行うときに、削除範囲によっては歯根を損傷するリスクがあります。

追加費用の発生

コルチコトミーの費用は、歯列矯正の治療費と別枠にしている医療機関が多いです。したがって、歯列矯正の治療費に追加費用が発生することになります。

コルチコトミーの術後経過

コルチコトミーの術後経過について、ご説明します。

術後の炎症反応

コルチコトミーは外科処置なため、術後の炎症反応の発生は避けられません。術後の炎症性腫脹は、24〜48時間をピークにしてその後消退していきます。

術後出血のリスクに関しては、圧迫止血を図ることで止血は十分に果たせます。

術後疼痛は個人差がありますが、炎症性腫脹と同じような経過を辿ることが多いです。非ステロイド性消炎鎮痛薬で十分疼痛コントロールは可能です。

皮下出血斑の形成

コルチコトミーの施術部位に近接する皮膚表面で、皮下出血斑の形成が認められることがあります。多くの場合、皮下出血斑は術後2〜3週間で自然に吸収されて消失します。

コルチコトミーの費用

コルチコトミーは、保険診療の給付対象外治療です。

コルチコトミーの範囲によって治療費に差があり、10〜40万円ほどが相場のようです。

コルチコトミーの治療費は、それぞれの医療機関で独自に決められていますので、詳しい治療費は主治医にご相談ください。

【まとめ】歯を早く移動させるコルチコトミーを併用した歯列矯正

現在、主流となっている矯正治療法はマルチブラケット矯正やマウスピース矯正ですが、いずれの治療法も治療期間が2〜3年と長期に及びます。

治療期間の短縮を図るために開発された方法のひとつが、コルチコトミーです。

この記事では、下記のようなことがご理解いただけたのではないでしょうか。

ここがポイント!

  • コルチコトミーは、歯槽骨の皮質骨を部分切除し、海綿骨に切削溝を形成する処置
  • コルチコトミーは、局所麻酔下での1〜2時間程度の外来小手術である
  • コルチコトミーのメリットは、治療期間の短縮・歯根吸収のリスク低減・後戻りのリスク低減・歯の移動範囲の拡大・歯の移動に伴う痛みの軽減など
  • コルチコトミーのデメリットは、手術侵襲・歯肉退縮・歯根露出・有限な移動促進効果・歯根損傷のリスク・追加料金の発生など
  • コルチコトミーの術後経過は、一般的な手術侵襲に伴う術後炎症反応に加え、皮下出血斑を形成することもある
  • コルチコトミーの費用は、10〜40万円が相場である

歯列矯正は、2〜3年ほどかかるものですが、コルチコトミーでは皮質骨を部分切除することで治療機関の短縮化というメリットがあります。しかし、コルチコトミーには、専門的な知識だけでなく、治療経験や専門的技術が欠かせません。また、手術特有のデメリットも存在します。

コルチコトミーを受ける際には、メリットだけでなく、デメリットやリスクについても患者様自身が理解したうえで行うことが大切です。

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