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セラミックの歯にするにはどのくらい歯を削るの?削る量が多いケースと少ないケースとその理由

セラミックの歯にするにはどのくらい歯を削るの?削る量が多いケースと少ないケースとその理由

クラウンの支台歯形態は、クラウンの保持力、抵抗力に加え審美形態などに大きく影響されるため、クラウンの種類によって異なります。形態が異なりますから、歯を削る量にも差が生まれます。

では、セラミッククラウンの支台歯の削除量はどれくらいになるのでしょうか。

このコラムでは、セラミッククラウンの支台歯の削除量について、削除量の比較も含めてご説明します。

支台歯の削除量が多くなると生じるリスク

支台歯形成に伴う歯質の削除量は最小限に止めることが求められますが、これは削除量が増えるとさまざまなリスクが生じるからです。

歯髄の反応性炎症

支台歯が有髄歯である場合、歯質の削除量が増大すると、形成時の温熱刺激などにより歯髄に反応性炎症を引き起こす可能性があります。

この結果、支台歯の自発痛、咬合痛、咬合時違和感などの不快症状が生じるリスクが高まります。

歯髄炎

有髄歯の場合、歯質の削除に伴い象牙質の露出量が増えると、冷水痛や温水痛などの歯髄炎の症状が生じることもあります。

クラウン保持力の低下

クラウンの保持力、すなわち外れにくさには、支台歯の歯冠長、歯冠幅、軸面のテーパー(軸面傾斜角)、支台歯の表面積などが大きく関係しています。

一例を挙げると、支台歯形成後の歯冠長では、前歯部と小臼歯部は4.0㎜、大臼歯部で3.0㎜以上あることが不可欠とされています。

ところが、大臼歯部で3.0㎜あれば外れないかというと、実はそうでもなく、歯冠幅の大きくなりやすい大臼歯の場合、歯冠長/歯冠幅の比の低下により外れやすくなります。

このようにクラウンの保持力は、支台歯形態の影響を受けます。支台歯の削除量が増加すると、「歯冠長が短くなる」「テーパーが急になる」「表面積が減少する」などの理由により、クラウンの保持力が低下します。

支台歯の剛性の低下

形成後の支台歯にエナメル質が残存している方が、支台歯の剛性、つまり強度が高くなります。支台歯の削除量が多くなればなるほど、エナメル質が減少するため支台歯の剛性が低下します。

支台歯の削除量が少なすぎると生じるリスク

支台歯の削除量が多すぎる場合だけではなく、反対に不足する場合にもリスクがあります。

形態回復が困難

支台歯の削除量が不足すると、クラウンの厚みも足りなくなります。その結果、クラウンに歯に近似した形態を与えることができなくなります。

色調再現性の低下

全部鋳造冠ではあまり問題にはなりませんが、クラウンの厚みが足りなくなることで、レジン前装鋳造冠やセラミッククラウンで、色調を再現するのが困難になります。

破損のリスク

咬合面部分の削除量が不足すると、咬合圧に耐えられず、クラウンが破損するリスクが生じます。

セラミッククラウンの支台歯の歯質削除量

セラミッククラウンの支台歯形成時の歯質削除量は、クラウンの種類によって異なります。

セラミッククラウンの詳細はこちら

ジルコニア・オールセラミッククラウン

ジルコニアは、高い透明性と強度を兼ね備えた人工ダイヤモンドとも呼ばれるセラミック材料です。

ジルコニア・オールセラミッククラウンは、外層をポーセレン、内層をジルコニアで製作しています。ポーセレンの破損しやすさを、ジルコニアで補強することで補っています。

金属材料を一切使っていないため、透明感や自然感が高く、審美性に優れたセラミッククラウンです。

前歯部

前歯部の唇側面削除量は1.0〜1.5㎜、舌側面削除量も1.0〜1.5㎜です。切縁削除量は少し多くなり、1.5〜2.0㎜です。

臼歯部

臼歯部の頬側面削除量は1.0〜1.5㎜、舌側面削除量も1.0〜1.5㎜です。咬合面削除量は1.5〜2.0㎜です。

陶材焼付鋳造冠

陶材焼付鋳造冠は、メタルボンド、セラモメタルとも呼ばれるセラミッククラウンです。外層はポーセレンですが、内層には金属フレームを用いています。

自然な色調に再現できる優れたセラミッククラウンですが、透明感という点ではジルコニア・オールセラミッククラウンの方が優れています。

前歯部

前歯部の唇側面削除量は歯頚部0.8㎜、歯頚部以外1.2㎜、舌側面削除量は1.0㎜です。切縁削除量は2.0㎜です。

臼歯部

臼歯部の頬側面削除量は歯頚部0.8㎜、歯頚部以外1.2㎜、舌側面削除量も同様です。咬合面削除量は1.5㎜です。

e-max(イーマックス)

e-maxは、ガラス系の材料を用いて作られたセラミッククラウンです。ガラス系の素材なので、透明度が非常に高く、自然感に優れた仕上がりが特徴です。また、硬さも天然歯と同じくらいなので、対合歯を傷めるリスクがほとんどありません。

前歯部

前歯部の唇側面削除量は歯頚部1.0㎜、歯頚部以外1.0〜1.2㎜、舌側面削除量は1.0㎜です。切縁削除量は1.5㎜です。

臼歯部

臼歯部の頬側面削除量、舌側面削除量どちらも1.0㎜です。咬合面削除量は1.0㎜です。

ポーセレン・ラミネートベニア

ポーセレン・ラミネートベニアは、前歯部の色調改善を目的として前歯部の唇側面に薄いポーセレンを貼り付ける修復治療法です。したがってポーセレン・ラミネートベニアは、正確にはクラウンではありませんが、クラウンと同じく外側性の支台歯形成なのでご紹介します。

ポーセレン・ラミネートベニアは、唇側面との接着により保持します。このため、合着剤の接着力を最大限に利用するため、形成面にエナメル質が残るように支台歯の唇側面を薄く、かつ均一に削除します。また、ポーセレン・ラミネートベニアは咬合力が加わる部位は適応外なので、咬合圧を考慮する必要がありません。

こうしたことから、ポーセレン・ラミネートベニアの支台歯の削除量はたいへん薄く、支台歯の歯頚部付近で0.3㎜程度、それ以外の部分でも0.5㎜程度となります。

ラミネートベニアの詳細は詳細はこちら

セラミッククラウンで歯質削除量に違いが出る理由

同じセラミッククラウンでも、ジルコニア・オールセラミッククラウンや陶材焼付鋳造冠で歯質削除量が多くなる理由をご説明します。

強度を保つため

セラミッククラウンの外層に用いるポーセレンの曲げ強度は、ジルコニアの1割ほど、e-maxと比べても25%ほどに過ぎません。このためポーセレンは破折しやすく、破折を防ぐためにポーセレン層が十分な厚みを保ちつつ均一になるよう形成しなければなりません。

セラミッククラウンで咬合面や切縁の削除量が多くなるのには、こうした事情が背景にあります。

色調再現性のため

ジルコニア・オールセラミッククラウンでは、ジルコニアの内面フレームの厚みが0.4㎜になります。

陶材焼付鋳造冠では、金属フレームから金属色を隠すオペーク層までで0.7㎜ほどです。

この上にポーセレンをデンチン、エナメル、トランスというように3層に分けて築成していきます。

セラミッククラウンの歯質削除量が多くなるのは、色調再現のためでもあります。

保険診療で用いられるクラウンの歯質削除量

保険診療で用いられるクラウンの歯質削除量をご紹介します。

全部鋳造冠

全部鋳造冠は、臼歯部の全面を覆う金属冠です。

頬側面、舌側面、近心面、遠心面、それぞれの軸面の削除量は、歯頚部を0.3㎜、歯頚部以外は0.5㎜以内です。咬合面削除量は1.0〜1.5㎜です。

レジン前装鋳造冠

レジン前装鋳造冠は、唇側面にコンポジットレジンを貼付した金属冠で、前歯部の治療に用いられます。

頬側面の削除量は1.0㎜、舌側面の削除量は1.0㎜強です。切縁の削除量は2.0㎜です。

CAD/CAM冠

CAD/CAM冠は、従来の歯科技工士の手作業により製作されるクラウンではなく、コンピューターを使って設計し、工作機械で自動的に製作するクラウンです。

保険診療では、コンポジットレジンをベースとしたタイプが導入されています。コンポジットレジンは、強度に劣るため、CAD/CAM冠の支台歯形成では対合歯とのクリアランスを十分確保することが求められます。

頬側面、舌側面、近心面、遠心面、それぞれの軸面の削除量は、歯頚部を0.8㎜以上、歯頚部以外は1.5㎜以上です。咬合面削除量は1.5〜2.0㎜、咬頭頂の厚みは1.0㎜以上です。

歯質削除量の比較

削除量が多いケースと少ないケースに分けてご説明します。

削除量が多いケース

歯質削除量が多くなりがちなケースは、強度や色調再現性から咬合面に厚みが必要なクラウンです。具体的には、ジルコニア・オールセラミッククラウン、陶材焼付鋳造冠、レジン前装鋳造冠、CAD/CAM冠などです。

削除量が少ないケース

歯質削除量が少ないケースは、咬合面の削除量が少ない全部鋳造冠です。金属冠は展延性がある上、審美性は求められないため、歯質削除量を少なく抑えられます。

【まとめ】セラミックの歯にするにはどのくらい歯を削るの?削る量が多いケースと少ないケースとその理由

このコラムでは、セラミッククラウンの支台歯形成時の歯質削除量について、他のクラウンとの比較を含めてご説明しました。

セラミッククラウンは自然な色調を再現できる審美性の高さが利点ですが、その歯質削除量は、強度や色調再現のために厚くなりがちです。

どの補綴方法を選ぶか、審美性も選択要素のひとつですが、歯質削除量についても十分検討しておくことが大切です。

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