歯茎を切除する歯肉整形のデメリットは?後戻りで失敗しないための予備知識

歯肉整形といえば、ガミースマイルを改善する治療方法の一つです。ここでは歯肉整形のメリットだけでなくデメリットや後戻りなどで失敗して後悔しないための予備知識をチェックしておきましょう。
目次
ガミースマイル治療に有効な歯肉整形
ガミースマイルの問題点は、簡単に説明すると歯肉が目立つことです。そこで、歯肉整形という治療方法があります。歯肉整形とは、歯肉の一部を切除することでガミースマイルを改善する審美歯科の治療法です。
歯肉整形では、麻酔を行い、電気メスで、歯肉の一部を切除します。歯肉整形により視覚的に歯の面積が広くなることで、歯肉が目立ちにくくなります。
歯肉整形はすべてのガミースマイルに有効!?
歯肉整形によるガミースマイル治療は、多くの原因のガミースマイル治療に有効です。歯肉整形単独の治療方法から、セラミック矯正と歯肉整形を併用する方法などがあります。
重要なことは、ガミースマイルの原因は複数あり、対応する治療法も様々なので、すべてのガミースマイル治療に歯肉整形が有効というわけではないことです。
まずは、ご自身に適した治療方法がどのような方法かをカウンセリングを受けることが大切です。
歯肉整形の手術方法とは
歯科医師がカウンセリングを実施して治療方針を決定し、歯肉整形手術の当日の流れについて説明します。
スプレーやジェルによる表面麻酔を実施し、局所麻酔の針挿入の痛みを軽減します。30Gや32Gといった歯科領域で多用されている細い注射針でゆっくりと麻酔薬を注入していきます。
麻酔の奏功を確認し、十分な除痛ができた状態で歯肉切除の位置をマーキングします。
続いて、マーキングした部分に沿って歯肉を電気メスで切除します。
麻酔から処置完了までの歯肉整形にかかる時間は10分程度です。
歯肉整形のデメリット
患者さん自身が術後想定されるデメリットやリスクである後戻りなどの対策について、歯科医師に質問して治療に対する理解を深めたうえで、歯肉整形治療を受けることが、失敗と後悔をしないための重要なポイントです。
歯肉整形により、見た目は改善しても知覚過敏など日常生活に支障がでるようになっては元も子もありません。
小手術が必要
歯肉整形は、全身麻酔が必要な手術ではなく、所要時間10分程度の小手術です。
しかし、これまでに抜歯やう蝕処置の際に、麻酔薬で気分が不快になった場合には注意が必要です。手術ができないわけではないので、寝不足などがないように万全の体調で臨みましょう。電気メスを使用する際に、ジューっという微かな音と、臭いがしますが、電気メスは、止血をしながら切除することができる優れた機器です。
術後の腫れや痛み、出血
歯肉整形の治療を受けるかお悩みの方にとって、1つのハードルになる可能性があるのが、術後の痛みや腫れ、出血ではないでしょうか。
術中の麻酔処置や、術後の鎮痛薬の服用で、歯肉整形の痛みは制限することができます。鎮痛薬には、消炎作用があることから、腫れもある程度抑えることが可能です。
術後、含嗽薬などを処方することで、口腔内の清潔を保つことを指導しますが、出血が気になり、清掃が不十分な場合には、後戻りや口内炎のリスクがあります。
切除量の不足
せっかく歯肉整形に踏み切っても、思ったよりも切除量が足りず、術後の仕上がりに満足できないことがあります。
歯肉とは、歯や骨を保護する目的のある組織であるため、切除量には解剖学上の制限があるからです。粘膜下には、筋肉や神経、血管があるため、切除量の目安は2〜3mm程度が限界です。口腔内の2〜3mmというのは、表情に大きな変化を感じるために十分な量ではありますが、患者様のお口の状態によって歯肉整形の仕上がりへの満足度が異なります。
歯が目立つ
切除量不足の反対に、歯肉整形の結果、歯が目立ちすぎるように感じることがあります。
例えば、歯周病や加齢によって1、2mmの歯肉退縮であっても歯が伸びた感じがすることと同様に、2〜3mmの変化は劇的な変化に感じることがあるからです。
知覚過敏
歯肉整形の結果、冷たいものや甘いもの、外気などが一過性にキーンと滲みる知覚過敏を起こす可能性があります。
後戻りの可能性
歯肉整形をしても、創傷治癒の際に、切除した部分が後戻りする可能性があります。
後戻りの程度は、個人差があります。切除量やもともとの骨と歯肉の位置関係、患者様の年齢などの条件によるからです。歯肉整形の後戻りを感じる時期は、術後半年くらいで発生することもあるため、後戻りの予防方法を歯科医師と相談することが大切です。
歯肉整形のメリット
歯肉整形のデメリットを先行して説明しましたが、ガミースマイル治療の第一選択ともいえる歯肉整形のメリットについて解説します。
1回の来院で完了
カウンセリングを除けば、歯肉整形は1度の来院で完了できます。必要であれば、手術翌日や1週間程度で再来院し、消毒や治癒状態を確認します。
電気メスで止血を行う
歯肉整形では、止血を行いながら切除ができる電気メスで行うため、傷を縫合する必要がありません。そのため、後日の抜糸も必要ありません。
ダウンタイムが少ない
歯肉整形は、多くの場合、歯肉単独の切除を行うため、骨の削合や抜歯が必要ありません。そのため、腫れが少ないことがメリットの1つです。
費用負担が安価
歯肉整形を含め、ガミースマイル治療は審美領域のため、保険適用外です。しかし、骨切りなどに比べると、歯肉整形単独の場合、費用負担は安価に済みます。
治療費は医療施設ごとに値段が異なり、算定方法は、多くの医療機関では歯の本数によって計算されます。およそ5万円から10万円くらいが平均的です。
歯肉整形で失敗しないための後戻り対策
せっかく受けた歯肉整形手術の結果、失敗ではないが後戻りを起こし、元通りになってしまったら残念です。術後の後戻りを防止する対策をご説明します。
セラミック矯正との併用
歯肉整形の施術と並行して、セラミッククラウンをセットする方法です。
クラウンがストッパーの役割をすることで、歯肉と歯の境界線であるマージン部分が維持され、歯肉の形態が維持されることで後戻りを防止します。 セラミック矯正は、ご自身の歯を削るというデメリットがありますが、歯並びや矮小歯、歯間離開などを修正することに優れています。
術後の口腔ケア
歯肉整形を行った直後はもちろん、出血が心配で歯磨きがおろそかになりがちです。
しかし、歯周病のケアにブラッシングが重要なように、歯肉には適度なマッサージが必要です。
マッサージにより血行が良好になり、創傷治癒が早まり、後戻りのない引き締まった歯肉になります。歯肉整形の術後は、後戻りの防止のために、柔らかめの歯ブラシを使用し、幾分の出血があってもブラッシングを継続しましょう。十分な清掃により感染の防止にもつながります。
【まとめ】歯茎を切除する歯肉整形のデメリットは?後戻りで失敗しないための予備知識
ガミースマイル治療の第一選択ともいえる歯肉整形にはメリットとデメリットがあります。特に、歯肉整形の後戻りはデメリットの1つであるため、術後の対策が必要です。
歯肉整形で失敗して後悔のないように、後戻りの対策として、どのような方法があるのか十分に歯科医師に相談することが大切です。