ダイレクトボンディングとは
ダイレクトボンディングは、天然歯に類似した形態や色調を再現することに優れる修復治療です。ペースト状の歯科用レジンを歯に直接盛り付け、光照射により硬化することで、歯の形態修正や歯並びのわずかな隙間、歯の変色を最短1日で治療します。
保険診療によるコンポジットレジン修復と異なり、ダイレクトボンディングで使用するレジンは、セラミックが配合され審美性と耐久性に優れます。臨在歯や対合歯に馴染むように、複数のレジンを積層することで、天然歯の色調や質感を再現します。
金属を使用しないメタルフリー治療のため、金属アレルギーがある方にも適しています。
コンポジットレジンとは
コンポジットレジン(Composite Resins)とは、う蝕の他、歯の欠けや隙間、変色を修復するための歯科材料のひとつです。頭文字から「CR修復」とも呼ばれます。
ペースト状のコンポジットレジンは操作性に優れ、歯の形態を精密に再現します。光重合型のコンポジットレジンは、専用の光照射器により20秒程度の光照射で硬化します。シェードと呼ばれる複数の明度と色調があるため、天然歯とのなじみの良い修復材料です。
簡便で最短1日で治療が完了するため、歯冠修復を行う際には、保険治療の第一選択となる歯科材料です。保険診療によるコンポジットレジン修復治療の多くは、窩洞(切削した穴)へ一塊にコンポジットレジンを充填します。そのため、ダイレクトボンディングによる積層と比べて、審美性が劣ります。
ダイレクトボンディングはこんな方におすすめ
- 詰め物の治療を1日で完了したい方
- 審美性に優れる修復治療をしたい方
- 歯の切削量を少なく、う蝕治療を行いたい方
- 歯の隙間、欠けや形を美しい見た目で治したい方
- メタルフリー修復を行いたい方(金属アレルギーの方を含む)
- 審美歯科治療を安価に行いたい方
ダイレクトボンディングの特徴
ダイレクトボンディングは、歯面に直接レジンを積層し、う蝕治療や歯の形態、色調の修正に適している治療方法です。
歯の切削量が少ない
ダイレクトボンディングで使用するレジンは、窩洞に沿った形態を付与するための流動性に優れます。そのため、インレーやクラウンを形成する場合と比較して切削量を少なくすることができます。
治療は最短1日で完了
ダイレクトボンディングであれば、印象採得(歯型取り)の手順が不要です。そのため、治療は最短1日で短時間で完了します。
様々な修復に応用可能
う蝕治療の他、歯のわずかな隙間、欠け、変色にもダイレクトボンディングは適応可能です。様々な色調のレジンを積層することで、天然歯に類似した審美性に優れる修復を行います。
ダイレクトボンディングのメリット
ダイレクトボンディングは、治療期間が短く、美しい歯冠修復ができるメリットの多い治療方法です。
歯へのダメージが最小限
ダイレクトボンディングは、歯の切削量を最小限に留められることで、歯へのダメージを抑えます。
一方、セラミック治療ではセラミックの強度確保のため、ある程度の厚みが必要になります。その分、歯の切削量が多くなり、歯へのダメージも大きくなります。
最短即日で治療完了で負担の少ない治療法
インレーやクラウンの治療では、印象採得後の技工操作が必要です。そのため、治療が少なくとも2回に分かれ、1週間程度の技工物製作期間が必要でした。
ダイレクトボンディングであれば、その場で歯面にレジンを積層するため、即日での治療完了が可能です。忙しい患者様にとって、負担の少ない治療方法です。
審美性に優れる修復
保険診療によるレジン修復と比較して、ダイレクトボンディングでは様々なシェードのレジンを積層し、天然歯の色調や明度を再現します。また、歯肉縁から切縁(歯の先端)までの天然歯のグラデーションを作ることができます。そのため、治療後の仕上がりの審美性に優れます。
メタルフリー治療
ダイレクトボンディングは、レジンによる修復治療のため金属を使用しません。そのため、金属アレルギーのある方にも安心な治療方法です。経年劣化により歯肉縁が黒ずむ、メタルタトゥーのリスクもありません。
再治療が容易
経年劣化により、レジンの欠けや変色が起こった場合も、レジンを除去し新しくレジンを積層することで、再度審美性の高い状態へと治すことが可能です。
比較的安価な審美歯科治療
歯の形態修正や歯間離開(すきっ歯)による歯列不正にも、ダイレクトボンディングは適応です。
歯列矯正治療では、治療期間や費用負担が大きくなりますが、ダイレクトボンディングであれば、比較的安価に審美性の高い治療を行うことができます。
ダイレクトボンディングのデメリット
ダイレクトボンディングは歯へのダメージの少ない治療法ですが、デメリットもあり、お口の状態によって適していないことがあります。
適応症例が限られる
う蝕治療により感染歯質を削合すると、歯質の欠損が大きすぎる場合、ダイレクトボンディングでは咬合力に対して強度を維持できないことがあります。症例によっては、適応とならないことがあります。
経年劣化による変色
ダイレクトボンディングに使われるレジンは吸水性のある素材のため、経年劣化により変色することがあります。変色が気になる場合には、新しい材料に詰め直すことで対応します。
ダイレクトボンディングの症例
治療名:ダイレクトボンディング / 症例:歯の欠け / 治療期間:1日 / 通院回数:1回
ダイレクトボンディングの適応
ダイレクトボンディングは、次に挙げるようなケースに適応できます。
前歯の空隙歯列・正中離開(すきっ歯)
歯の欠け
虫歯
ダイレクトボンディング治療の流れ
ダイレクトボンディング治療は、基本は1日で終了する治療です。治療の手順をご紹介いたします。
診察・相談では、患者様の現在のお口のお悩みをダイレクトボンディング治療の経験豊富な女性医師が伺います。
う蝕治療の1つの選択肢として、または歯の形態や色調の修復など、気になる点をお伝えください。
ダイレクトボンディング修復による治療を選択したら、予約状況により診察当日での処置も可能です。
生活歯(神経が生きている歯)には、部分麻酔を行い無痛状態で処置を行います。麻酔針の挿入も、表面麻酔により除痛します。
既存のインレーや古いレジン充填物がある場合には、う蝕の感染歯質と一緒に除去します。除去する範囲は、必要最小限に留めています。
臨在歯や対合歯との調和を確認し、数あるシェードから適した色調のレジンを複数選択します。天然歯のグラデーションを再現すために複数回積層し、光照射により硬化します。
咬み合わせの感覚は、ミクロン単位で繊細なものです。咬み合わせる際や左右への顎の動きを妨げないかを確認し、必要な場合には調整を行います。
咬み合わせと大まかな形態が問題なければ、研磨を行います。研磨をすることで微細な段差を解消し、プラークが付きにくい滑沢な表面形態を作り出します。
当日は、患者様に仕上がりをご確認いただき、問題がなければ治療は終了です。ご自宅に帰ってからの噛み合わせや歯磨きのしやすさなど、日常での不具合がないかを後日確認のため、ご来院いただくことをお勧めしています。
ダイレクトボンディング治療は予後の良い治療方法の1つですが、う蝕や歯周病のリスクを低下させるためにも、メインテナンスが大切です。
レジンは吸水性が高い素材のため、2次う蝕や変色が起こっていないかなどの確認のため、定期検診にお越しください。
ダイレクトボンディングの料金・費用
当院ではすべて自費診療で行っております。そのためダイレクトボンディングも自費診療となり、1本の歯につき、3万円弱になります。例えばオールセラミックの差し歯の場合、1本7.5万円弱となるため、それと比べるとかなり費用は抑えられます。
メニュー名 | 本数・回数・内容 | 価格 |
---|---|---|
コンポジットレジン | 1個所 | 40,700円 |
コンポジットレジン オムニクロマ | 1個所 | 70,400円 |
ダイレクトボンディングのよくある質問
ダイレクトボンディング治療は、う蝕の感染歯質削除後の修復の他、歯の欠けや変色、形態修正など様々な症例が想定されます。
そのため、レジンと歯質との強固な接着を求めるため、歯質の表面を切削することがありますが、必要最小限の切削です。
生活歯である場合、切削による振動や送気、水洗による痛みやしみるといった不快感を生じることがあります。
う蝕治療により切削量が多いことが想定される場合などには、麻酔により無痛治療をご提供しておりますのでご安心ください。
レジンは吸水性の高い素材です。そのため、セラミックと比較すれば、経年劣化による変色は否定できません。レジンの材質も向上し、変色が起こりにくくなってきていますが、将来的に変色が気になる場合には、再治療によりその時のお口の状態に最適な審美性を提供することができます。
経年劣化により、レジンと歯質との間に2次カリエスができた場合など、レジンが脱離することがあります。
疼痛がない場合であっても、脱離した面は粗造なため汚れが付きやすく、う蝕の好発部位となります。そのため、できるだけ早めのご来院をお願いしております。
コンポジットレジンを充填した当日は、コーヒーやワインといった色素の強い飲料やカレーやキムチといった香辛料の多い食べ物などは、着色の原因になりやすいためお控えください。また、レジンと歯質の境界に帯状の着色が起こることがあります。
保険診療によるレジン充填では、多くの場合1色のシェードによるレジンが使用されます。そのため、歯頚部から歯切縁までのグラデーションの再現性に劣っていると言えます。
一方、ダイレクトボンディング治療では、セラミックのフィラーがレジンに付与されていることにより強度を向上しているものなど、色調の他に強度でも品質が向上されたものを使用しています。
ダイレクトボンディング治療のレジンが充填される箇所が歯の咬合面(咬み合わせる面)にかかっている場合、咬み合わせには注意が必要です。
治療完了前に咬み合わせに違和感がないか、強く負荷がかかっていないかなどを確認しますが、ご帰宅後に違和感がある場合には、定期検診での予後確認の際にお伝えください。
コンポジットレジンは、色調や明度に複数の種類があり、メーカーによっても若干の違いがあります。
当院ではダイレクトボンディング治療の経験豊富な女性歯科医師が、臨在歯や対合歯とのバランスを確認しながら、色を選択していきます。歯科医師の提案によるシェードは、口腔外で確認すると一見暗く見えることで、ご不安を覚える方もいらっしゃいますが、口腔内では周囲の歯と調和する自然な印象になることが多いです。
コンポジットレジンは、安全性の高い歯科用材料のひとつです。メタルフリーであることから、金属イオンの流出による歯茎の黒ずみや金属アレルギーが起こることがありません。
当院で採用するコンポジットレジンは、医薬品としての安全基準を満たした高品質なものを選択しておりますのでご安心ください。
かなり稀ではありますが、レジンに添加されている物質にアレルギーを起こす方もいらっしゃいますので、これまでにレジンアレルギーを発症したことがある方は、診察時にお伝えください。
コンポジットレジンは、高分子材料による歯科用材料です。対して、セラミックとは無機材料のため、コンポジットレジンと比べて、唾液にさらされる口腔内でより安定した材質であると言えます。簡単に言うと、コンポジットレジンは変色する、セラミックは変色しないという点が大きな違いです。
ダイレクトボンディングで使用する自費用のレジンには、セラミックフィラーが配合された強度や色調に優れたものも採用されています。
ダイレクトボンディングで用いられるコンポジットレジンの寿命は、歯磨きや口呼吸などの環境条件によって差がありますが、3年〜5年です。
その理由は、紫外線による酸化や構造変化、熱膨張によるレジンの変形、唾液などによる吸水性変化などにより経年劣化を生じるからです。
ダイレクトボンディングのページをご覧の皆様へ
このページでは、虫歯治療の中でもっとも歯を保存的に治療できる、ダイレクトボンディングついてご確認いただけます。
ダイレクトボンディングは、虫歯による欠損部分に直接コンポジットレジンやハイブリッドセラミックなどを充填することで、歯の修復を行う治療法です。最短で即日治療が終わり、患者様の負担も軽く、健康な歯をできる限り保存できる治療法です。
当院では最小限の虫歯だけを除去し、自費でしか扱えない接着性と審美性の高い素材を採用することで、歯をより保存的に人工物の脱離や劣化を最小限にとどめます。
ダイレクトボンディングの治療を担当する歯科医師
ダイレクトボンディングの治療概要
治療方法 | ダイレクトボンディング |
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治療説明 | ダイレクトボンディングは、歯を削る量を最小限で虫歯を治療することを目的とした治療です。 |
治療費 | 40,700円〜70,400円 |
治療の副作用(リスク) |
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治療期間 | 1日 |
治療回数 | 1回 |
適応症例 | 空隙歯列、虫歯 |
ダウンタイム | なし |
カウンセリング当日の治療 | カウンセリングまで |
入院の必要性 | なし |
術後の制限事項 | なし |
不適応の症例 |
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