成人矯正と小児矯正の期間と治療法
歯列矯正には、年単位の時間が必要です。
そのため、学生のうちに治療を始めたいと思っても、治療が受験や進学、就職にともなう引っ越しに重なってしまうのではないかという不安もあることでしょう。また、治療中の見た目がどうなるのか、治療方法によって治療期間が変わるのかなどもあらかじめ知っておきたいところです。
この記事では、歯列矯正の治療期間と治療方法などを解説します。
この記事を読むことで、小児矯正・成人矯正にかかる期間や治療方法を理解でき、下記のような疑問や悩みを解決します。
こんな疑問を解消!
- 小児矯正と成人矯正の違い
- 小児矯正1期治療の時期と治療期間、治療方法
- 小児矯正2期治療の時期と治療期間、治療方法
- 成人矯正の治療時期と治療期間、治療方法
歯列矯正は時期により治療期間や内容は変わる
歯列矯正の治療に必要な期間は、どの程度の治療が必要か、いつ治療を始めるかによって変わります。
それによって治療の内容も変わり、治療の内容によって使用する装置の種類も変わります。
そのため、一概にこの治療をしてこれくらいの期間になるとは言えませんが、治療開始の時期によっておおまかな傾向等はありますので、これから治療開始時期別に見ていきましょう。
成人矯正と小児矯正
歯列矯正は子どものうちから始める場合と、大人になってから始める場合とで大きく分けられ、それぞれ小児矯正、成人矯正と呼びます。
小児矯正はさらに1期治療と2期治療に分けられ、どちらかだけで治療が完了する場合もありますが、基本的には1期と2期でワンセットの治療になります。
小児矯正1期治療
乳歯のうちから、永久歯が生え揃うまでの間に行う矯正治療のことです。
1期治療では上下顎の関係(上下どちらかまたは両方が前に出ている、引っ込んでいるなど)を改善させることや、永久歯が生え替わるのに必要なスペースを確保すること、顎や歯列の成長発育を妨げる因子を取り除くことなど、将来の健康できれいな歯並びのための下地作りを行うことになります。
1期治療で矯正治療が終了する子もいますが、1期で終了しなかった場合でもその後の2期治療に移行したときに抜歯を必要としなくて済む可能性を上げられるといったこともあります。
使用する装置(治療法)としては床矯正装置、マルチブラケット(ヘッドギア等含む)、その他習癖改善用の装置等があります。
治療期間としては2〜4年程度が目安になりますが、経過観察や治療開始時期にもより小学校高学年から中学生頃まで続きます。
治療開始の目安としては上下4前歯と第一大臼歯(6歳臼歯)が揃った頃とされることが多いですが、その前から治療が必要となる場合もあります。
小児矯正1期治療での治療法
小児矯正1期治療での治療法を見ていきます。
床矯正
入れ歯のような装置を用いて行う治療法です。
上顎や下顎の成長を促したり、歯列の幅を広げたりなど、目的に応じて様々な種類の装置があり、夜寝ている間に使用するものも多いです。
子どもが自分で装着する必要があるため、装着時間が短かったり、使用しない日が多かったりすると狙った効果が得られないことがあります。
マルチブラケット
歯にブラケットという小さい装置を接着し、そこにワイヤーを通すもので、矯正と聞いてよくイメージするものです。
成人矯正で用いるものと同じものになりますが、歯の移動だけでなくヘッドギアやフェイスマスクと呼ばれる装置を併用して顎の成長のコントロールも行うのが異なる点です。
ヘッドギアやフェイスマスクといった顎外装置は家にいる間だけ用いるため、日中は通常のマルチブラケット装置と見た目に差はありません。
その他の装置・処置
歯の移動や成長のコントロールには、前述のもの以外にもリンガルアーチ(舌側弧線装置)やチンキャップといったものも使われることがあります。
また、この時期には指しゃぶりや舌突出癖、開口癖(ポカン口)といった顎の成長発育や歯並びに影響してしまう癖(習癖と呼びます)を改善するための装置の使用やトレーニングを行うこともあります。
そのほかに、歯列矯正そのものではありませんが、過剰歯(本来よりも多い余分な歯)によって歯の間があいてしまう場合や、上唇小帯(上唇の裏のスジ)の突っ張りが強く前歯の間が閉じれない場合(正中離開)には、過剰歯抜歯や上唇小帯切除といった外科的な処置を行うこともあります。
小児2期治療
永久歯が生え揃ってから、顎の骨の成長が終了するまでの期間の矯正治療になります。
1期治療から引き続き顎の成長発育をコントロールして上下顎関係の改善を行いますが、顎に対して歯が大きい場合や2期治療から始める場合など条件により成人矯正と同じく抜歯矯正となることもあます。
また、顎矯正(手術を伴う矯正)になる可能性がある場合には成長のおさまる頃に再評価することになります。
2期治療で用いる治療法は主にマルチブラケット装置によるものになり、成人矯正に近いものになります。治療期間は3年程度が目安になります。
2期治療で歯列矯正が終了する場合には、後戻りを防ぐために保定に入ります。保定装置は取り外し式のものと歯に接着する固定式のものがあります。
成人矯正
顎の成長が終了してからの矯正治療になります。
歯を並べるスペースが不足する場合、軽度であれば歯列の側方拡大やエナメル質の一部を削ってスペースを作ること(ディスキングやストリッピングと呼ばれます)で対応可能なこともありますが、一定以上の不足の場合は抜歯をしてスペースを確保することになります。
治療法としてはマルチブラケット法(ワイヤー矯正)が主になりますが、条件によってはマウスピース矯正も可能です。治療期間としては2〜4年程度かかることが多いです。
動的治療(歯を動かす治療)終了後は、後戻り防止のために保定が必要になります。保定装置には取り外し式と固定式のものがあります。
また、小児矯正の1期治療や2期治療で改善しきれなかった骨格レベルでの不正に対して顎矯正の適応かを判断するのは、成人矯正の段階になります。顎矯正では術前矯正、手術、術後矯正を含めて5年程度かかることが少なくありません。
【まとめ】成人矯正と小児矯正の期間と治療法
小児矯正と成人矯正の違いやそれぞれにかかる期間の目安、治療方法などを解説しました。
この記事では、下記のようなことが分かったのではないでしょうか。
ここがポイント!
- 歯列矯正の治療期間は、治療内容や治療開始時期により変わる
- 小児矯正1期治療は、永久歯が生え揃うまでの期間に行う治療。治療期間の目安は2~4年程度。床矯正装置・マルチブラケット・習癖改善用の装置などで治療する
- 小児矯正2期治療は、永久歯が生え揃って顎骨の成長が終了するまでの期間に行う治療。治療期間の目安は3年程度。マルチブラケット装置による治療が主となる
- 成人矯正は、顎の成長が終了してから行う治療。治療期間の目安は2〜4年程度。マルチブラケット法がメインだが、条件によってはマウスピース矯正も可能。顎矯正の場合は5年程度かかることもある
- 動的治療終了後は、後戻り防止のために保定が必要
歯列矯正は成人矯正になる前の小児矯正では、歯の生え具合や顎骨の成長によって治療内容や治療期間が変わります。
成人矯正であれば、一般的なワイヤー矯正のほかに舌側矯正やマウスピース矯正、またはこれらの組み合わせでの治療が選択になります。
この記事で紹介した治療期間は目安であり、実際の治療期間はお口の中の状態や選択した治療法により変わってきます。
南青山矯正歯科クリニックでは、女性歯科医師による歯列矯正の診察・相談をお受けいただけます。ご自身の場合に治療期間がどれくらいになるのか知りたい場合は、診察にてご相談ください。丁寧に対応させていただきます。