ラミネートベニアの寿命はどれくらい?正しいケアと取れた時の対処法

近年、前歯の審美的なお悩みの解消のため、ラミネートベニアによる治療方法を選択する患者様が増えてきています。
ラミネートベニアとは、通院回数が2、3回で済み、審美性に優れた治療方法です。
口元の美しさにお悩みをお持ちの方は、すでにラミネートベニアについて、情報収集を行い、ご存知の方もいらっしゃるかもしれません。
実際のところ、ラミネートベニアは、処置回数は少ないものの審美歯科領域であることから、歯科医師の技術力によって完成度や予後に違いがあります。
今回は、ラミネートベニアの寿命や取れてしまった際の対応についてご説明いたします。これからラミネートベニアの治療を受けようかとお考えの方は、ぜひ参考になさってください。
目次
ラミネートベニアはどれくらいもつ?
ラミネートベニアは、歯のエナメル質を切削し、セラミックのネイルチップ様の補綴物を合着する方法です。
生体において安定性に優れたセラミックによる治療なので、レジンや金属を含む補綴物に比べて、2次カリエスや歯周病のリスクが低く、予後が良好であることがわかっています。
ラミネートベニアは、特に上顎前歯部に採用されることが多いでしょう。
前歯は、食べ物を裁断、会話など様々なタイミングで上下の歯が接触しています。無意識のうちに歯ぎしりをする人は就寝時などに前歯に負担がかかっています。結果として、ラミネートベニアには、日々、咬合力や側方力がかかり、長期的に観察すると破折や脱離といった問題が起こることが想定されます。
そのため、ラミネートベニアの予後についての研究は国内外で様々行われています。
少し古い報告にはなりますが、セット後10年経過した25人の患者(上顎前歯87症例)のうち、10年後に再治療が必要となったのは4%という報告があり、基本的には長期的な使用が可能な完成度の高い治療方法といえます。
臨床的な感覚からお伝えすると、10年から20年程度は問題なく使用できるという認識ではあります。
ラミネートベニアの寿命を延ばすためにできること
ラミネートベニアの寿命を延ばすために、まずは変色や2次カリエスを予防するために有効なのがPMTC(Professional Mechanical Tooth Cleaning)です。
PMTCにより、歯の表面についたステインや、プラークを除去することができます。ラミネートベニアについた着色の除去とともに口腔環境の改善を図ることができるので、定期的なクリーニングがお勧めです。
また、ラミネートベニアのセット時には、支台歯と合着するためにセメントを使用します。
セメントは、レジン系、アイオノマー系など種類によっても異なりますが、おおよそ5年程度で劣化し、補綴物と支台歯の間にギャップができるといわれています。もちろん、歯科材料は日々進化していますので、5年経ったらラミネートベニアが剥がれるという訳ではありませんのでご安心ください。
ギャップができることで、2次カリエスのリスクや、脱離が起こるリスクが上昇しますが、セメントの品質向上により予後良好に使用できる期間は長くなってきています。
日々の生活の中で、重い荷物を持ったり、スポーツをする際、ストレスなど無意識のうちに歯をかみしめたり、食いしばっている瞬間があります。また、就寝時の歯ぎしりは、自分自身ではわかりません。ご家族やご友人に指摘されている場合や食いしばりが多い場合には、マウスピースの装着もラミネートベニアの保護には有効です。
大切なセルフケア
一般的に、ラミネートベニアは他人の目に触れやすい前歯部に採用されることが多いです。
そのため、ラミネートベニアと支台歯の境界(マージン)に着色が起こると、他人の目につきやすいのは事実です。
セルフケアとしてできることは、下記の通りです。
- 喫煙をしない
- 着色の起こりやすい飲食物を避ける
- 2次カリエス予防のため、タフトブラシなどで境目をなぞるように磨く
- 前歯で硬いものを食べない
- マウスピースの装着
もしも剥がれてしまったら
脱離はお食事中など何か刺激があった際に起こりやすいでしょう。
ラミネートベニアが剥がれてしまった場合には、保管して来院時に念のため持参します。状態によりますが、場合によっては再装着可能な場合もあります。
支台歯に2次カリエスが起こっている場合や、歯肉退縮によりマージン部が変更になった場合には、再度印象採得を行い、再補綴を行う方が審美性が高いこともありますので、脱離や破折が起きた場合には、早々にかかりつけ医を受診しましょう。
大切なのは歯科医師の技術力
ラミネートベニアの施術を提供している歯科医院は増えてきていますが、技術力や患者さんの満足度には差があるのが現実です。
高い満足度や良好な予後のためには、審美歯科や歯科矯正について専門的な知識と技術力を持つ歯科医院で受けることが大切です。
カウンセリング時に、症例を確認し、万が一、剥がれてしまった場合など不具合があった際に、どのような対応をしてもらえるかを確認しておきましょう。価格帯のみで選択せず歯科医師の経験やアフターケアについても十分な確認をしておくことが大切です。
【まとめ】ラミネートベニアの寿命はどれくらい?正しいケアと取れた時の対処法
ラミネートベニアは、治療回数も少ないことから気軽に治療を受けやすい審美歯科治療のひとつです。予後は10年以上問題なく使用できることが予測される完成度の高い治療方法ですが、良好な予後にはメインテナンスと歯科医師の技術力が必須です。
ラミネートベニアは、実績のある歯科医師のもとで施術を行い、メインテナンスを継続することで良好な状態を維持しましょう。