ラミネートベニアで出っ歯は改善できますか?

現在では、男性女性問わず、美意識が高く、自己投資の一つとして歯を治すことを選択される方がいらっしゃいます。そのような方に人気があるのが、ラミネートベニアによる治療方法です。
また、審美歯科治療の1つとしてラミネートベニア治療は、多くの症例に応用されています。
ラミネートベニアのメリットは、まず支台歯となる歯のエナメル質を薄層切削します。その上に、セラミックのネイルチップ様の補綴物をセメントで合着する治療法です。
適応は、変色から歯間離開、歯冠破折、捻転歯まで幅広く応用されています。
今回は、その中でも、日本人に多い不正咬合の1つである出っ歯のラミネートベニア治療についてご説明いたします。出っ歯は治したいけど、歯列矯正で年数がかかるのはちょっと・・・とお悩み中の方にも参考になると思います。
目次
出っ歯には種類がある!?
出っ歯とは、歯科用語では“上顎前突”と呼ばれます。
上顎前突は、ぽってりとした前歯がチャームポイントになる場合もあれば、飛び出た前歯がコンプレックスになることもあります。
出っ歯にお悩みの方は、いろいろな治療方法をすでにお調べいただいているかと思います。
出っ歯の原因は、大きく分けて①骨格性か、②歯性の2種類があります。
それぞれの原因と治療法について簡単に解説します。
①骨格性
骨格性の上顎前突の原因は、上顎骨が過成長か下顎骨の劣成長、あるいはその両方が考えられます。この場合は、上顎骨を切断しセットバックする外科的な治療方法や、抜歯により歯列矯正をすることで出っ歯の治療を行います。
骨格性の場合には、歯の傾きの修正のみでは改善しないため、ラミネートベニアの適応にはならないことが多いでしょう。
②歯性
前述した骨格性上顎前突と異なり、上顎骨と下顎骨のバランスはとれているが、出っ歯である場合には、歯の唇側傾斜や捻転が想定されます。
唇側傾斜とは、前歯の歯軸が外側に傾斜して生えている状態です。
捻転とは、歯軸が歯列弓のカーブに対して、捻転して生えているため、隣在歯との間に隙間ができ、前歯が目立っています。
歯性の場合には、ラミネートベニアにて治療を行うことが可能な場合があります。
ラミネートベニアによる出っ歯の治療
ラミネートベニアによる治療方法は、簡単に以下の通りです。
シェードテイキング(完成補綴物の色の決定)→患歯の形成(切削)→印象(型取り)
補綴物のセメントによる合着
ラミネートベニアで治療できない出っ歯とは?
出っ歯でお悩みの場合には、歯性の上顎前突であれば、ラミネートベニアにて治療ができることは、ご説明しました。
しかし、骨格性に限らず、ラミネートベニアにて治療が不適応である出っ歯があります。
それは、重度の叢生がある場合です。
叢生とは、乱杭歯とも呼ばれる歯が重なり合ってガタガタした歯並びのことです。
がちゃ歯とも呼ばれる状態は、歯ブラシで汚れを落としにくく、う蝕や歯周病のリスクが高いです。結果として、口臭のリスクも高くなります。
歯が重なり合った叢生の場合には、ラミネートベニアのみで治療を行うことは難しいのが現状です。そういった場合には、必要に応じて抜歯を含むワイヤーによる歯列矯正や、セラミッククラウンによる歯列矯正がお勧めです。
歯列を改善することで、口腔の清掃状態も改善し、お口の健康には理想的な環境を整えることができます。
出っ歯を治すとほうれい線ができる!?
出っ歯を治すと口元がやせるため、ほうれい線ができる、深くなるといった表情の老化を心配する患者様もいらっしゃいます。確かに、ほうれい線とは、鼻唇溝と呼ばれる小鼻から口元にかけた頬との境界です。
ラミネートベニアで出っ歯を治した場合、鼻唇溝が深くなるのかというと、結論は深くはなりません。ラミネートベニアによる治療方法の場合、抜歯による歯軸の移動に比べ口元に与える影響は小さいからです。
そもそも、歯列矯正において抜歯が必要であったとしても、エステティックラインといって横顔の分析や、口元の突出について正確な分析のもと治療を行っていれば、治療により口角が下がることもなく老けた印象になることはありません。
治療を開始する前に、ご心配な場合は、お気軽に歯科医師に相談してみましょう。
【まとめ】ラミネートベニアで出っ歯は改善できますか?
出っ歯にお悩みの場合、歯列矯正に比べて、治療回数が少ないラミネートベニアをご検討中の方もいらっしゃいます。
出っ歯(上顎前突)には、骨格性、歯性と大きく分けて原因が2種類あり、ラミネートベニアが適応できる場合とできない場合があります。
ラミネートベニアに興味関心をお持ちの場合には、一度ラミネートベニアを多く経験している歯科医師のカウンセリングを受けることが大切です。ご自身の状態に適した出っ歯の治療方法がラミネートベニアによる治療方法か、ワイヤーによる歯列矯正もしくはセラミック矯正なのか、矯正治療と審美歯科治療を得意とする歯科医師に相談してみましょう。