虫歯があるとホワイトニングはできない?虫歯がある場合の対処法も解説
ホワイトニングは歯の色を白く美しくする施術ですが、いつでも行えるわけではありません。
特に「虫歯があるとホワイトニングができない」といわれることがありますが、実際のところどうなのでしょうか。
この記事では、虫歯とホワイトニングの関係などを解説します。
この記事を読むことで、ホワイトニングの施術が虫歯に与える影響やホワイトニング前に済ませておくべき治療、虫歯の程度によって治療の手順がどう変わるかなどを理解でき、下記のような疑問や悩みを解決します。
こんな疑問を解消!
- ホワイトニング前に虫歯を治療しなければならない理由
- 虫歯以外でホワイトニング前に済ませておくべき治療
- 虫歯が小さい場合の治療パターン
- 虫歯が大きい場合の治療パターン
- 抜髄などが必要な場合の治療パターン
虫歯があるままホワイトニングをするとどうなる?
虫歯がある場合、ホワイトニングをする前に治す必要があります。
虫歯とは、菌によって歯が本来持っている構造が壊された状態のことを言います。
通常、歯は内側から歯髄(歯の神経)、象牙質、エナメル質という層状の作りになっています。エナメル質は97%がハイドロキシアパタイトでできた言わば結晶の塊ですが、象牙質は歯髄から伸びた神経細胞が入っている管(象牙細管)があり、何らかの原因で象牙質に及んだ刺激は歯髄にも伝わります。
ホワイトニングではエナメル質に薬剤を作用させますが、虫歯で象牙質がむき出しになってしまっている所があると、そこについたホワイトニング剤が象牙細管を通じて歯髄に刺激を与えてしまいます。ホワイトニング剤が歯髄に刺激を与えると、軽ければしみる症状程度で済みますが、歯髄が炎症を起こしてしまい(歯髄炎)、神経を取り除く処置(抜髓処置)が必要になることもあります。そのため、虫歯がある場合はホワイトニング前に治しておく必要があります。
ホワイトニング前にするべき治療
虫歯の他にもホワイトニング前にするべき治療があります。
基本的な考え方として、ホワイトニング剤によって歯髄に刺激を与える可能性がある状態は虫歯でなくても治療が必要です。
知覚過敏
歯肉退縮やNCCL(虫歯が原因ではない歯の削れ、えぐれなど)などによって象牙質が露出し、象牙細管がむき出しになっていると発生します。冷たいものがしみる、歯をみがいたときにピリッと痛いといった症状が代表的です。
知覚過敏が発生している箇所にホワイトニング剤が着くと、象牙細管を通じて歯髄に刺激を与える可能性があるため、コーティングやレジン充填などの処置をしてホワイトニング前に知覚過敏を解消しておく必要があります。
歯周病
ホワイトニングは歯(歯冠部)に対して行うのに対し、歯周病は歯肉(歯ぐき)の問題のため、あまり関係ないように思われるかもしれません。また歯周病というと、歯肉の下がったもののイメージがありますが、パッと見ではわかりづらいものも多いのが現実です。
歯周病は歯肉や歯周組織が炎症を起こしたもので、よく歯肉の腫れから始まります。
歯肉が腫れていると、ホワイトニング剤を適切に歯に塗ることができず不十分な効果しか得られなかったり、腫れた歯肉にホワイトニング剤が触れてしまい歯肉に化学的なダメージを与えてしまうおそれがあります。また、腫れた歯肉からの出血でホワイトニング剤の効果が十分に得られないことも考えられます。
歯周病治療後は歯肉退縮による知覚過敏を伴うことも多いため、知覚過敏処置を必要とする可能性が高くなります。
ホワイトニングと虫歯治療のパターン
虫歯があるときには、ホワイトニング前に虫歯治療が必要ですが、虫歯の大きさによってどんな手順で行うことになるかが変わります。
虫歯が小さい場合
虫歯が比較的小さく、レジン充填で治療可能な場合はホワイトニング前にレジン充填処置を行い、虫歯治療を完了させます。
ホワイトニング前に充填したレジンの色がホワイトニング後に合わなくなることがあり、もし色が合わなくなってしまった場合は充填処置のやり直しを行います。
従来の1色にのみ対応したレジンではホワイトニング後に色が合わなくなることがよくありましたが、最近は1本のレジンで何色にも対応できるレジンも提供されており、ホワイトニング後の再充填が不要な場合もあります。
ホワイトニング直後の期間は、レジンと歯との接着性が低下することが報告されており、またホワイトニング後の色戻りは約30日である程度落ち着くことも報告されています。そのため、色合わせのために再充填をする場合には、ホワイトニング終了後1か月ほど経ってから行うのが推奨されます。
虫歯が大きい場合
虫歯が大きく、インレーやクラウンでの修復・補綴が必要な場合は、ホワイトニング後に治療を完了させます。
特にセラミックを使用した修復・補綴を考えている場合は、ホワイトニング前に治療を完了させてしまうと修復・補綴物と周囲の歯との色の差が出てしまうことになるため、ホワイトニング後に治療を完了させる必要があります。
ホワイトニング前には、虫歯の除去とレジンやグラスアイオノマーセメントで仮の修復をします。ホワイトニング後、色の安定とレジンへの接着性の回復のために約1か月ほど待ってから型採りをします。これは修復・補綴物はレジンではなくても、接着に使用するセメントはレジン系のためです。
神経の処置が必要な場合
虫歯があまりに大きくて抜髓や感染根管治療などの処置が必要な場合は、先ほどの虫歯が大きい場合に準じます。
基本的にホワイトニングは、歯周病治療や根管治療などの補綴前処置の後に行い、その後にセラミックなどによる最終補綴に移行します。
根管処置中は仮充填や仮歯で過ごすことになります。根管処置後はコアを立て、仮歯の状態にします。仮歯で歯の形態や歯肉との調和をとりながらホワイトニングで色調の改善も行います。形態、色調ともに最終補綴に移行できると判断できたら型採りをし、セラミックなどの歯を作ります。
【まとめ】虫歯があるとホワイトニングはできない?虫歯がある場合の対処法も解説
虫歯があるとホワイトニングができない理由や、虫歯の大きさごとの治療パターンなどを解説しました。
この記事では、下記のようなことが分かったのではないでしょうか。
ここがポイント!
- 虫歯があると、ホワイトニング剤で歯髄炎を起こしたり抜髓が必要になったりすることがあるため、あらかじめ治療しておく必要がある
- 虫歯だけでなく、知覚過敏や歯周病もホワイトニング前に治療しておく必要がある
- 虫歯が小さい場合は、レジン充填処置で虫歯治療を済ませた後にホワイトニングを行い、色が合わなくなった場合は、ホワイトニングから1か月後くらいに充填措置をやり直す
- 虫歯が大きい場合は、虫歯を除去して仮の修復をした後にホワイトニングを行い、1か月ほどたってから修復・補綴治療を完了させる
- 神経の処置が必要な場合は、歯周病治療や根管治療などの補綴前処置のあとにホワイトニングを行い、その後にセラミックなどによる最終補綴に移行する
ホワイトニングは歯の表面や浅い範囲で薬剤による化学反応を行わせる処置と言うことができます。そのため、適切に行わないと歯髄や歯肉に化学的なダメージを与えてしまうことがあります。
回り道に思えるかもしれませんが、安全・確実な効果を得るために前処置は非常に重要です。ホワイトニングを検討されている方は、参考にしてみてください。
南青山矯正歯科クリニックでは、ホワイトニング前のセラミックによる詰め物や被せ物の治療による前処置も行っております。ホワイトニングを検討中の方は、まずは診察にてご相談ください。女性歯科医師が丁寧に診察、診断をさせていただきます。