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歯の移動を加速させるオルソパルスとは?インビザラインへの応用についても解説

歯の移動を加速させるオルソパルスとは?インビザラインへの応用についても解説

歯列矯正は歯の移動速度に限界があるため、通常は2〜3年程度かけて治療を行います。また、歯を動かすときに痛みが生じることも少なくありません。
しかし、歯の移動を速めることができたら?
矯正中の痛みを和らげられるのなら?
このような希望の実現に役立つと考えられているのが、「オルソパルス」と呼ばれる装置です。

この記事では、オルソパルスの仕組みとインビザラインへの応用などについて解説します。
この記事を読むことで、オルソパルスの原理や効果、使い方を理解でき、下記のような疑問や悩みを解決します。

こんな疑問を解消!

  • オルソパルスの概要
  • オルソパルスの原理
  • オルソパルスを使用することで生じる副作用
  • オルソパルスを矯正治療に使用した場合の効果
  • オルソパルスの使い方

目次

オルソパルスとは

オルソパルスはフォトバイオモジュレーションと呼ばれる現象を利用した治療装置です。

特定波長に調整された光を照射することで歯の移動を促進させたり、歯の移動に伴う痛みを和らげたりすることを目的とした装置です。1日1回、10分間使用します。

オルソパルスの原理(フォトバイオモジュレーション)

なぜ光を当てるだけでそんな効果が得られるのでしょうか?

オルソパルスが利用している、フォトバイオモジュレーションという現象は完全には原理がわかっていませんが、それでも多くのことがわかっています。

今わかっていることを簡単に説明します。

フォトバイオモジュレーションは、使用する光の波長により効果が異なり、オルソパルスが発する赤〜近赤外線領域の光は細胞増殖や成長促進に働くとされています。

赤〜近赤外線領域の光が当てられると細胞の中では、ミトコンドリア(細胞が活動するためのエネルギーを作る器官)がATP(エネルギー物質)を増やすシグナルが出され、細胞が活発に活動できるようになります。

ミトコンドリアの活性化により、細胞の中ではATPの増加のほかに、一酸化窒素(NO)や活性酸素(ROS)が放出され、細胞内での濃度が上昇します。 NOやROSの濃度がある範囲内で上昇すると、細胞内では増殖因子と呼ばれる物質が作られるようになり、細胞の増殖、分化(細胞が役割を持つようになること)が促進されます。

この結果、例えば傷口では傷の治りを受け持つ細胞が活発に働き、傷の治りが早められます。

オルソパルスでは矯正力による炎症箇所に作用し、歯の移動の促進や痛みの緩和に役立つと考えられています。

フォトバイオモジュレーションは光が当たる箇所にみられますが、その効果はある程度の深さまで起こります。

整形外科領域では頭に赤〜近赤外線領域の光を当てた場合、表面から10mmまで効果が認められたとする報告があり、オルソパルスでも歯茎の中にある骨にまで効果が及んでいることが期待されています。

副作用について

フォトバイオモジュレーションには、特別な副作用はないとされています。

与えられる光のエネルギーが、適正範囲を超えて多くなりすぎると効果が減弱したり、細胞レベルでダメージとなる可能性が言われていますが、指示された使用の範囲内では問題ないとされています。

オルソパルスの効果

フォトバイオモジュレーションには様々な効果が報告されていますが、オルソパルスではその中でもどんな効果が期待されるのでしょうか?

治療期間の短縮(歯の移動の促進)

フォトバイオモジュレーションは歯を支える骨(歯槽骨)にある骨芽細胞などの活性を高め、歯槽骨の作り替え(リモデリング)を促すとされています。

歯の移動には歯槽骨のリモデリングが関わるため、リモデリングが早く進めば歯の移動も速くなります。

オルソパルスを用いることで歯の移動を速め、結果として治療期間の短縮が期待されます。

インビザラインなどのマウスピース矯正の場合、次のアライナー(矯正用マウスピース)への交換が早くなるという形でわかりやすく効果を実感できる可能性があります。

痛みの緩和

矯正治療で歯の移動が起こるときには、炎症による痛みが出ることが非常に多いです。

フォトバイオモジュレーションの効果の中には組織内の炎症を鎮める作用があり、オルソパルスを用いることで矯正治療中の痛みの緩和が期待されています。

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オルソパルスの使い方

詳しい使い方や管理の仕方については、取扱い説明書を参照したり、歯科医院で指導を受けるようにしましょう。

ここでは簡単な説明をしていきます。

STEP.1
オルソパルス本体の充電

携帯の充電器と同じくUSBによる接続になりますが、供給電圧の関係から専用のアダプターとケーブルを用いて充電するようにしてください。満充電までは6時間程度かかります。

STEP.2
上顎への照射

オルソパルスの照射は上下同時には行えず、片方ずつ行います。

使用前には必ず充電状態を確認してください。満充電でない場合には上下に十分な照射が行えない可能性があります。

まず上顎にオルソパルスを装着し、照射を開始します。このとき、マウスピース矯正の場合はアライナーは装着した状態です。照射する光のエネルギーにより温熱感を覚えることがあります。

上顎への照射は5分で終了します。

STEP.3
下顎への照射

上顎への照射が終わったらオルソパルスの上下をひっくり返し、下顎に装着し、照射を行います。こちらも照射は5分で終了します。

STEP.4
洗浄、格納

上下の照射が終わったら流水で洗い、乾かしてケースにしまいます。

オルソパルスの使用は1日1回のため、翌日の使用に備えて忘れずに充電しておきましょう。

【まとめ】歯の移動を加速させるオルソパルスとは?インビザラインへの応用についても解説

オルソパルスで期待できる効果やインビザラインへの応用などを解説しました。
この記事では、下記のようなことが分かったのではないでしょうか。

ここがポイント!

  • オルソパルスは特定波長に調整された光を照射する装置で、フォトバイオモジュレーションと呼ばれる現象を利用したもの
  • オルソパルスで赤〜近赤外線領域の光を照射すると、ミトコンドリアが活性化されて細胞の増殖・分化が促進される
  • フォトバイオモジュレーションに、特別な副作用はないとされている
  • 矯正治療にオルソパルスを使用した場合、歯の移動の促進や痛みの緩和が期待できる
  • オルソパルスは、1日1回上顎に5分・下顎に5分照射する

オルソパルスは歯の移動を速め、治療期間を短縮してくれるほか、治療に伴う痛みを和らげてくれる可能性があります。
効果には個人差がありますが、インビザラインのようなマウスピース矯正は、光を遮るブラケットがないためオルソパルスと非常に相性がよいといえます。

参考文献

渡辺聡, 高野晃, 本郷智之, 八尾香奈子, 興地隆史. 歯科領域におけるLLLTのエビデンス —システマティックレビューとランダム化比較試験による現在の評価—. 日本レーザー歯学会誌. 2018年, 29巻, 1号, p.10-25. https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjpnsoclaserdent/29/1/29_10/_article/-char/ja, (参照 2021-02-18)

中山瑛子, 櫛引俊宏, 真弓芳稲, 土屋壮登, 東隆一, 清澤智晴, 石原美弥史. 形成外科・皮膚科領域のPhotobiomodulation Therapy. 日本レーザー歯学会誌. 2021年, 41巻, 4号, p.370-384. https://www.jstage.jst.go.jp/article/jslsm/41/4/41_jslsm-41_0035/_article/-char/ja, (参照 2021-02-18)

フォトバイオモジュレーションと脳外傷性脳損傷とその先. Laser Focus World Japan. 2016年7月, p.38. (参照 2021-02-18)

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