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セラミック歯の作り方(製造工程)

セラミック歯の作り方(製造工程)

セラミックの修復物は白く美しいですが、色の再現度や自由度、強度などには差があります。
そして、その「差」は素材や製法によって生まれます。

この記事では、現在主流となっているセラミック材料での修復物各種の製法について解説します。
この記事を読むことで、セラミック歯の製造工程を理解でき、下記のような疑問や悩みを解決します。

こんな疑問を解消!

  • セラミックインレーの主な素材と製法
  • クラウンの材質にポーセレン(陶材)を用いる場合の製法
  • セラミッククラウンの製法

セラミックインレーの作り方

セラミックによるインレー(部分的な修復物)の素材は、主にジルコニアとガラスセラミックの2つで、製法も大きく分けて2つになります。

セラミックインレーの詳細はこちら

CAD/CAM

CAD/CAM(コンピューターを用いた設計と削り出し)によって作る方法はジルコニア、ガラスセラミック両方で用いられます。

形態のデザイン(CAD)

型取りから作った歯の模型(作業用模型)をスキャン、または口腔内スキャナで直接歯の形をスキャンして得られたデータを用い、コンピューター上でインレーの設計を行います。削りの形や歯のすり減り具合などを考慮して、インレーの形態をデザインします。

削り出し(CAM)

設計したデータをミリング(削り出し)マシンに送り、ジルコニアやe.max(イーマックス)などのガラスセラミックの半焼結体ブロックからデータ通りの形を削り出します。

着色(ステイニング)

半焼結体ブロックから削り出されたインレーは、素焼きのような状態です。陶芸で絵付けをするときのように、この段階で着色をしてより歯に馴染む自然な色調を作ります。

この着色は必ず行うわけではなく、着色をせずに直接次の工程に進むこともあります。

シンタリング(焼結)

半焼結体ブロックから削りだしたインレーを、専用の炉で焼き上げて焼結体にして(シンタリング)完成品のセラミックインレーになります。

調整・研磨

仕上がったセラミックインレーを歯型(ダイ:クラウンなどを作るための作業用の歯の模型)に戻して、細かい仕上げを行います。

プレス(ガラスセラミックのみ)

ガラスセラミックでは、もうひとつの作り方としてプレスというものがあります。

金属の鋳造と同じように、型に流し込んで作ります。

ワックスアップ

歯型上で完成品と同じ形のものを、歯科用の蝋(ワックス)で作ります。

この工程をワックスアップといい、インレーやクラウン、ブリッジなどを作るときによく行います。

ワックスアップで作ったもの(ワックスパターン)はプレスが可能なようにスプルーをつけるなどの加工を行います。

埋没

ワックスパターンをもとに、プレスのための鋳型を作ります。

プレス

e.maxなどのガラスセラミックのインゴットを専用の機械で加熱して軟化させ、鋳型に押し込んで(プレス)加工します。

加工直後は非常に高温のため、ヒビが入ったりしないようにゆっくり冷却します。

調整・研磨

プレスのために取り付けたスプルーを切断し、歯型に戻して適合を確認、調整、研磨します。必要に応じて着色をしてグレージング(艶焼き)を行います。

セラミッククラウンの作り方

セラミッククラウンの作り方も、ジルコニアやガラスセラミック単独の場合は、基本的にはインレーと大きく変わりません。

クラウンの材質にポーセレン(陶材)を用いる場合はコーピングと呼ばれる内側の補強構造が必要になるため、製法が変わります。

セラミッククラウンの詳細はこちら

メタルボンドクラウン

金属製のコーピングの上にポーセレンを焼き付けた、最も歴史のあるセラミッククラウンです。

ワックスアップ

完成品と同じ形になるように歯型上でワックスパターンを作ります。

コーピングの作製

出来上がったワックスパターンから、ポーセレンを盛り上げる分を削り取ります(カットバック)。カットバック後のワックスパターンを埋没、鋳造してコーピングを作ります。

ポーセレンの築盛、焼成

出来上がったコーピングに、ポーセレンのペーストを手作業で乗せていきます。盛り上げるように歯の形を築いていくこの工程を築盛といいます。

ポーセレンのペーストは何種類も色があり、段階的に築盛しては焼成して素焼きの状態にして色を作りながら、少しずつ歯の形に仕上げていきます。

形態修正

歯の形に仕上げたら、細かな形態の修正を行います。

この段階で一度患者の口腔内に入れてチェックをすることもあります(ビスケットテイク)。

グレージング

形態の仕上げが済んだら仕上げの焼成を行います。

研磨

必要に応じ修正し、研磨をします。

ジルコニアセラミッククラウン(築盛法)

ジルコニア製のコーピングにポーセレンを築盛、焼成するため基本的にはメタルボンドクラウンと同じですが、コーピングの作製が異なります。

コーピングの作製

作業用模型をスキャン、または口腔内スキャナで得たデータを用い、CAD/CAM装置でコーピングをジルコニア半焼結体ディスクから削り出します。

半焼結体のコーピングをシンタリングして焼結体にし、歯型にフィットすることを確認します。

以後の製作工程についてはメタルボンドクラウンと同じため省略します。

ジルコニアセラミッククラウン(プレス法)

ポーセレンのかわりにガラスセラミックを用いたものです。

コーピングの作製

築盛法と同じため省略します。

ワックスアップ

ジルコニアコーピング上でワックスアップを行います。

ガラスセラミックのプレス

ワックスアップを行ったコーピングごと埋没し、ガラスセラミックをプレスします。

形態修正、研磨

スプルーなど余分なものを除去、形態修正をします。

プレス後のクラウンに着色をして再焼成する場合や、さらにポーセレンを築盛して焼成する場合もあります。

仕上げ研磨を行い、完成します。

フルジルコニアクラウン

基本的にはジルコニアインレーと同じになります。

インレーの項目で説明したため詳細は省略しますが、以下の流れになります。

  •  クラウンのデザイン(CAD)
  • ディスクからの削り出し(CAM)
  • 形態修正・着色(ステイニング)
  • シンタリング
  •  研磨

e.max(ガラスセラミック)クラウン

こちらもインレーのときと同じになります。

CAD/CAM、プレスどちらも既に説明したため詳細は省略しますが、以下の流れになります。

CAD/CAM

  • クラウンのデザイン(CAD)
  • ブロックからの削り出し(CAM)
  • 形態修正・着色(ステイニング)
  • シンタリング
  • 研磨

プレス

  • ワックスアップ
  • プレス
  • 形態修正
  • 着色・グレージング
  • 研磨

【まとめ】セラミック歯の作り方(製造工程)

さまざまなセラミック歯の製造工程を解説しました。
この記事では、下記のようなことが分かったのではないでしょうか。

ここがポイント!

  • セラミックインレーでよく使われる素材はジルコニアとガラスセラミックで、両素材共通で用いられる製法としては「CAD/CAM」があり、ガラスセラミックについては「プレス」という製法が用いられることもある
  • メタルボンドクラウンでは、カットバック後のワックスパターンを埋没・鋳造してコーピングを作り、ポーセレンを築盛・焼成する
  • ジルコニア製のコーピングにポーセレンを築盛・焼成する場合は、CAD/CAM装置でコーピングをジルコニア半焼結体ディスクから削り出す
  • ジルコニアセラミッククラウンをプレス法で作る場合は、CAD/CAM装置で作製したジルコニアコーピング上でワックスアップを行う
  • ガラスセラミックのプレスの場合は、ワックスアップしたコーピングごとに埋没し、ガラスセラミックをプレスする
  • セラミッククラウンをジルコニアやガラスセラミック単独で作る場合、製法はインレーとほぼ同じ

セラミックは素材ごとに性質が異なります。そのため、使用可能な製法が決まっており、かかる時間や手間も異なり、値段にも差が出てきます。
セラミックの製法の理解が、セラミック歯を検討するときの一助となればと思います。

南青山矯正歯科クリニックでは、補綴治療10年以上のキャリアを持つ女性歯科医師と、審美歯科専門の歯科技工士が連携してセラミック歯を製作しています。
素材選びも重要ですが、質の高いセラミック歯を作るためには、診断をする歯科医師とセラミックを製作する歯科技工士の存在も重要です。

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