小児矯正は保険適用になるの?保険が適用される条件と費用を抑える方法
子供の健やかな成長において、歯並びや噛み合わせは非常に重要な要素です。そのため、お子様の矯正治療(小児矯正)を検討される親御さんは多いですが、一方で「費用が全額自己負担になり、高額な治療費がかかるのでは」と不安に思われるケースも少なくありません。
実は、小児矯正はすべてのケースが自費診療になるわけではなく、特定の条件や疾患に該当する場合は保険が適用される仕組みになっています。
この記事では、小児矯正が保険適用になるための原則や具体的な対象疾患、そして保険適用外(自費診療)の場合も含めて、治療費を抑えるための各種制度や方法を詳しく解説します。
この記事を読むことで、どのような場合に小児矯正で保険が使えるのか、また費用負担を軽減するために利用できる制度には何があるのかを理解でき、下記のような疑問や悩みを解決します。
こんな疑問を解消!
- 小児矯正で保険診療が認められるための条件
- 保険が適用される疾患とは
- 歯が生えてこない「萌出不全」や、生まれつき歯が足りない「先天性欠如」でも保険は使えるの?
- 医療費控除や高額療養費制度、自立支援医療は、子供の矯正治療にも適用できるの?
- 保険が使えない自費診療の場合に、治療費を抑えるための効果的なアプローチは?
目次
小児矯正の保険適用の原則
小児矯正は次の条件に該当する場合に限って、保険診療の適用が得られます。
施設基準を届け出た保険医療機関であること
小児矯正を保険診療で行うには、まず歯科医院側が次の施設基準を満たしている必要があります。
- ❶矯正治療の5年以上の診療経験のある専任の歯科医師が1名以上いること
- ❷常勤の歯科医師が1名以上いること
- ❸歯科矯正セファログラムエックス線写真撮影装置などの矯正治療を行うために必要な機器や設備を備えていること
- ❹顎矯正手術を行う別の保険医療機関と連携が取れていること
保険適応の条件を満たしていること
小児矯正を保険診療で受けられるのは、歯科矯正診断料か顎口腔機能診断料を算定した顎口腔の奇形や変形を伴う先天性疾患やそれに起因する咬合異常の方に限られます。
また、顎口腔の奇形や変形などの先天性疾患による咬合異常の場合は、該当する疾患の診療を担当している保険医療機関からの情報提供も求められます。
小児矯正の保険適応疾患
小児矯正の保険診療適応疾患は、“厚生労働大臣が定める疾患” “3歯以上の永久歯萌出不全” “3歯以上の先天性欠如歯”に起因した咬合異常だけです。
厚生労働大臣が定める疾患に起因した咬合異常
厚生労働大臣が定める疾患とは、顎や口腔に関係する先天性疾患です。
該当する疾患は全部で70ほどありますので、ここに全てを列記することは難しいですが、ダウン症や唇顎口蓋裂など比較的よく知られていると思われる疾患も含まれています。
これらの先天性疾患が原因で起こった咬合異常に対する小児矯正であれば、保険診療の適用が受けられます。
3歯以上の永久歯萌出不全に起因した咬合異常
前歯と小臼歯の永久歯のうち、3本以上が萌出不全を起こし、かつこれらが骨性の埋伏永久歯である状態になっている咬合異常です。骨性の埋伏永久歯かどうかは、パノラマエックス線写真を定期的に撮影するなどして、歯の移動が見られるかどうかで判断します。
なお、平成30年までは適応範囲が前歯の永久歯だけに限られていました。小臼歯まで拡大し、より受けられやすくなったのは令和4年からです。
18歳未満で連続した3歯以上の先天性欠如歯に起因した咬合異常
永久歯が3本以上連続して先天的に欠損している場合です。事故や齲蝕などにより抜歯され、後天的に欠損した場合は対象外です。
なお、3本以上連続して欠損していない場合であっても、“厚生労働大臣が定める疾患に起因した咬合異常”に“永久歯が6歯以上欠損する先天的部分無歯症”が含まれています。この疾患に該当すれば、小児矯正も保険診療の対象になります。
小児矯正の治療費を抑える方法
小児矯正の治療費を抑える方法としては、“医療費控除” “高額療養費制度” “複数の歯科医院での見積もり”などが挙げられます。
医療費控除
医療費控除は、世帯主の方とそのご家族が1月1日から12月31日までの1年間に支払った医療費の総額が、一定金額(多くの場合は10万円)を超えた場合に医療費の負担を減らす税制上の仕組みです。
医療費だけでなく、治療のためにかかった通院費用も対象になりますし、子供の付添人の交通費も対象です。ただし、自家用車のガソリン代や駐車場代は対象外です。
一定金額を超えた医療費は、超えた金額に応じて所得税や住民税が軽減されます。
国税庁の判断では、『発育段階にある子供の成長を阻害しないように行う不正咬合の歯列矯正』は医療費控除の対象となるとしています。このため、咬合や咀嚼、構音機能の改善を目的とした小児矯正ならその治療費が一定金額を超えた場合、医療費控除の対象として認められる可能性が高く、治療費を抑えるのに有効です。
確定申告をしないと医療費控除は受けられませんので、注意が必要です。
高額療養費制度
高額療養費制度は、1日から月最終日までにかかった、すなわち1ヶ月にかかった医療費の自己負担額が自己負担限度額を超えた場合に、超えた分を払い戻される仕組みです。自己負担限度は、年齢や所得額(小児矯正の場合は、世帯主)によって区分されており、一般的に所得が低いと上限額も低くなっています。
保険診療上の制度なので、自費診療の場合は適用されませんが、小児矯正が保険診療の対象となる場合は、高額療養費制度も利用できます。
なお、世帯内での医療費を合算できるので、小児矯正を受けている方だけでなく、他の家族の方の医療費も合計した金額で計算できます。
高額療養費制度も保険診療に限定されますが、小児矯正の治療費を抑える一つの方法です。
自立支援医療(育成医療)
自立支援医療とは、児童福祉法に規定された障害児の身体障害を除去する、もしくは軽減するための医療に対して、自立支援医療費を支給する制度です。唇顎口蓋裂が原因で言語機能に障害があり、それを改善するために歯列矯正が必要な方はこの制度の対象です。
世帯の所得により上限がありますが、医療費の自己負担金額が1割になります。
自立支援医療は唇顎口蓋裂の方の治療費を軽減する方法のひとつです。
幾つかの歯科医院で相談する
自費診療の小児矯正の場合、治療費はそれぞれの歯科医院が独自に設定しています。治療費の相場も症状や治療法によって異なるので、わかりにくいのが実情です。
そこで、1箇所の歯科医院だけでなく、複数の歯科医院で治療費を見積もってもらうことをおすすめします。そうすれば、治療費の相場がわかりますので、複数の歯科医院で相談することは治療費が過剰にならないようにするのに有効です。
【まとめ】小児矯正は保険適用になるの?保険が適用される条件と費用を抑える方法
小児矯正の保険適用における原則的な条件や対象となる具体的な疾患、そして治療費の負担を軽減するための様々な方法について、詳しく解説しました。
この記事では、下記のようなことが理解できたのではないでしょうか。
ここがポイント!
- 小児矯正で保険を適用するには、歯科医院側が一定の施設基準を満たしている、および特定の先天性疾患等による咬合異常であるという条件を満たす必要がある
- 保険適応となる疾患は、ダウン症や唇顎口蓋裂などの「厚生労働大臣が定める疾患」、3歯以上の「永久歯萌出不全(骨性埋伏)」、18歳未満で連続した3歯以上の「先天性欠如歯」等に起因する咬合異常に限られる
- 治療費を抑える仕組みとして「医療費控除」があり、子供の成長阻害を防ぐための不正咬合の矯正であれば、通院費や付添人の交通費も含めて控除の対象となる可能性が高く、確定申告で負担を減らせる
- 保険診療の対象となる場合は、1ヶ月の自己負担額に上限を設ける「高額療養費制度」が利用でき、世帯内での医療費合算も可能
- 唇顎口蓋裂による言語機能障害の改善を目的とする歯列矯正では、自己負担が1割になる「自立支援医療(育成医療)」が利用できる場合がある
- 自費診療となる場合は治療費の設定が医院ごとに異なるため、複数の歯科医院で相談・見積もりを受けることが、費用の過剰化を防ぎ、相場を把握するために有効
子供の時期に行う矯正治療は、将来の健やかなお口の環境を作るためにとても価値があるものです。
保険が使えるケースは限定的ではありますが、もし対象外の自費診療になったとしても、医療費控除をはじめとする制度や、複数医院での比較検討といったアプローチを知っておくことで、経済的な負担を賢く抑えることができます。
南青山矯正歯科クリニックでは、お子様一人ひとりのお口の状態を丁寧に診察し、最適な治療方法、費用を抑えるためのアドバイスまで親身になってサポートいたします。
お子様の歯並びや噛み合わせについて少しでも気になることやご不安がございましたら、まずは女性歯科医師によるカウンセリングにてお気軽にご相談ください。皆様のご来院を心よりお待ちしております。



