セラミックの歯は保険が適用されるの?保険適用の基準と値段
歯の被せ物(冠/クラウン)といえば、よく銀歯がイメージされますが、保険診療で白い歯を入れることはできないのでしょうか?
また、多くの歯科医院のサイトで紹介されているセラミック歯は、保険診療で使用できるのでしょうか?
この記事では、セラミック歯と保険診療の白い歯「CAD/CAM冠」について解説します。
この記事を読むことで、セラミック歯の保険適用の有無や保険が適用されるCAD/CAM冠の特徴などを理解でき、下記のような疑問や悩みを解決します。
こんな疑問を解消!
- セラミック歯の保険適用について
- CAD/CAM冠の素材と特徴
- CAD/CAM冠の適応範囲
- CAD/CAM冠の治療費
セラミックの歯は保険が適応される?
結論から述べると、セラミックの歯は保険適応外となります。インプラントや矯正は条件を満たせば保険適応で治療可能ですが、セラミックを用いた修復や補綴は現状では保険適応外となっています。
しかし現在、合金としていわゆる銀歯に使用されている金属のうち、パラジウムという金属の価格が上昇を続けている関係から、チタンなどの他の金属や金属以外の素材の使用が模索されているところです。そのひとつとして、セラミックの一種であるジルコニアを用いた補綴物を保険適応に推す動きがあるようです。
セラミックによる修復や補綴が、すぐに保険適応となることはないと思われますが、将来的には可能性はゼロではありません。
保険適応の「白い歯」、CAD/CAM冠
2014年から保険収載されたもので、CAD/CAM冠というものがあります。
「保険適応でも入れられる白い歯」と説明されることがありますが、これはセラミックとは違うものなのでしょうか?
CAD/CAM冠の素材と特徴
CAD/CAM冠は高強度レジンという、従来の硬質レジンジャケット冠や硬質レジン前装冠に用いられてきたレジン(プラスチック)よりも、強度を向上させたものをその素材としています。
この高強度レジンは、従来のレジンのようにペーストで供給されて技工士が硬化させるのではなく、完全硬化済みのブロックとして供給されます。
高強度レジンは、従来のレジンやハイブリッドレジンよりも物性を向上させていますが、それでもレジンであるため、CAD/CAM冠は高強度レジンブロックからコンピューター上で設計(CAD)された形どおりにコンピューター制御で削り出し(CAM)をして作ります。
これまでのほぼ全て手作業で作られる保険診療の冠と違い、最後の調整以外はコンピューター上で作業が進むことになります。この製法はジルコニアクラウンと似ています。
CAD/CAM冠は、ブロックから削り出しをして調整・研磨をすることで完成となるため、セラミッククラウンで行うような細かな色づけはできません。ブロックにはA3やA2といった色がつけられていて、その色以外から選ぶことはできません。
メーカーや部位によっては、グラデーションを持つブロックもあり、単色ブロックよりは自然な色調を演出できるようにしていますが、それでも既製品の中から選ぶしかありません。しかし、CAD/CAM冠は光を通す性質があるため、多少の色味の差があっても、ある程度馴染んでくれるのも特徴です。
銀歯などの金属を材料としたクラウンと比較すると、CAD/CAM冠は強度でどうしても劣ります。そのため、当たりが強い場合や冠の厚みが薄くなってしまう場合には、割れたり外れたりしやすくなります。
適応範囲
CAD/CAM冠は2014年に保険収載され、そのときは上下小臼歯のみが適応でした。その後範囲が拡大され、2022年2月時点では切歯(前歯)、犬歯(糸切り歯)、小臼歯が適応のほか、第二大臼歯がすべて揃って咬み合わせがあるという条件下で、上下とも第一大臼歯まで適応が広げられています。また、金属アレルギーと診断され条件を満たしている場合には、すべての歯に対して使用が認められています。
ただし、CAD/CAM冠は支台歯(削った状態の歯)の高さがある程度必要になるため、歯の高さが十分にとれない場合は適応外となるほか、咬む力が強い人は割れてしまう可能性が高まるため、適応外となる場合があります。また、CAD/CAM冠はブリッジでは使用できません。
個々のケースがそれぞれ適応になるかは、担当医に相談するようにしましょう。
治療費
CAD/CAM冠は保険適応のため、治療費が決められています。
歯の状態により差が出てきますが、削って型をとるときは3割自己負担額で2,200~2,500円程度、装着のときには部位等により変わりますが5,000~5,500円程度かかります。
この料金の他に再診料や付随する処置の点数が加わるため、実際にはこれよりも費用が発生することになります。
【まとめ】セラミックの歯は保険が適用されるの?保険適用の基準と値段
セラミック歯の保険適用の有無やCAD/CAM冠の特徴・適応範囲・治療費などを解説しました。 この記事では、下記のようなことが分かったのではないでしょうか。ここがポイント!
- セラミックを用いた修復や補綴は保険適応外だが、将来的に保険適応になる可能性はある
- CAD/CAM冠は、高強度レジンブロックから、コンピューターで設計された形どおりに削り出して作られ、細かな色付けはできないが、光を通す性質があるため色味の差があっても馴染みやすい
- CAD/CAM冠は金属クラウンより強度で劣るため、割れたり外れたりするリスクがある
- CAD/CAM冠は、条件を満たせば上下とも第一大臼歯まで保険適用となり、金属アレルギーで条件を満たしている場合は、すべての歯が保険適用となる
- CAD/CAM冠は、支台歯の高さが十分にとれない場合や咬む力が強い場合など適応外になる場合もある
- CAD/CAM冠の治療費は2,200~5,500円程度だが、これに再診料や処置料が加算される
CAD/CAM冠は、登場してからまだ10年も経っていない比較的新しい技術ですが、適応範囲を広げて多くの医院で使用されるようになっています。今後はCAD/CAMインレーなど、さらなる適応の拡大も検討されています。
セラミックとは異なり、強度や汚れのつきやすさなどの問題はありますが、治療の選択肢を広げる素材といえるでしょう。
南青山矯正歯科クリニックでは、CAD/CAM冠の取り扱いはありませんが、機能性、耐久性、審美性共に優れるセラミック歯を取り扱っております。毎日、10年、20年と使っていく物になりますので、費用はかかりますがセラミック歯をおすすめさせていただいております。