セラミックを使用した歯科治療にかかる治療期間

セラミックを使用した歯科治療は、審美的に綺麗に仕上がるだけなく、生体親和性や強度、清掃性を考えても非常に有用な治療方法です。セラミックを使用した歯科治療ではどのくらいの治療期間がかかるのかをご紹介します。
目次
セラミック矯正治療の流れと治療期間
前歯4本、もしくは前歯6本の歯に被せ物をすることによって歯列を矯正します。
セラミック矯正する場合、歯軸を変える可能性もあるため、また特に前歯の場合は支台歯形成をすると露髄する可能性もあるため、有髄歯の場合は便宜抜髄をすることも多いです。抜髄処置は通常は2から3回で終わりますが、歯によっては治療が長引くこともあります。
抜髄処置が終わった後は土台を立てます。一昔前までは金属の土台が主流でしたが、現在の主流はファイバーで土台を立てることです。
土台を立てた後は支台歯形成です。ここで、仮歯を作製し、最終補綴物の形態及び咬合、歯列を確認します。
この後、印象採得、及び咬合採得をして、作業模型を石膏で作成し、作業模型上でセラミッククラウンを作製し、できたものを口腔内に装着します。
- 抜髄とは歯の神経を抜く処置のことです。通常は虫歯が神経まで達した際に行われる処置だが、被せ物をする際に止むを得ず便宜的に神経を抜くことがあります。
- 支台歯形成とは、歯を一回り小さく削ることによって、被せ物を被せるスペースを作ることです。
- 露髄とは、歯の中の神経が出てしまうことです。
- 有髄歯とは、神経のある歯のことです。
- 印象採得、咬合採得とは、歯型取りと噛み合わせの記録を取ることです。従来では印象採得や咬合採得を行うときに材料を使用することが一般的でしたが、最近ではデジタルカメラで口腔内を撮影し、印象採得と咬合採得を同時に行える光学印象が主流になってきています。
この光学印象を利用することで、印象採得から被せ物や詰め物を装着するまでの期間を大幅に短縮することが可能です。全ての歯科医院で光学印象を扱っているわけではないので、事前に対応可能かどうか聞くことをお勧めします。
セラミック矯正の治療期間
セラミック矯正の前処置として歯型を採取し、模型上で歯を擬似的に動かして最終形状を確認することもあります。それを行う場合は最低でも1週間程度はかかります。
その後の前処置として歯の神経を取るかどうかによっても治療期間が変わってきます。神経の処置を行う場合は、仮に3回かかったとすると、2〜3週間程度かかります。
前処置が終わると、いよいよ支台歯形成をして印象採得、咬合採得をしますが、通常の材料を使用した印象採得、咬合採得の場合は1週間から2週間程度で装着する被せ物を作製することが可能ですが、ここでいきなり最終的な被せ物を製作するのではなく、セラミックのフレームだけをまず作製し、フレームを試適して適合を確認してから最終的な被せ物を作製する方法もあります。この場合は試適してから最終的な被せ物を作製するため、もう1〜2週間の日数を要します。
一方で光学印象の場合はケースにもよりますが、即日で作製することも可能です。ただし、歯の状態やセラミックの材質によっても異なるので、治療前に確認が必要になります。
セラミックインレー治療の流れと治療期間
セラミックインレーは臼歯部の咬合面及び隣接面にカリエスがある場合の修復処置として用いられます。
まずはカリエスを除去し、必要であればセメントやコンポジットレジンで裏層します。その後、窩洞形成をし、印象採得、咬合採得を行い、仮封をします。作業模型を石膏で作製し、作業模型上でセラミックインレーを作製し、口腔内に装着します。
- カリエスとは、虫歯のことです。
- コンポジットレジンとは、プラスチックの樹脂でできた材料のことです。
- 裏層とは、神経を守るためや、カリエスを削った部分を平らにするために、材料で補填することです。
- 窩洞形成とは、インレーを装着するために歯を削り、形を作ることです。
セラミックインレーの治療期間
まずはカリエスを除去し、カリエスの大きさによっては裏層した後に一度仮封します。カリエスが大きいと神経に近接するために痛みが出る可能性があるからです。
一度仮封した場合は、まずここで1週間程度は様子を見るので日数がかかります。もし仮封しない場合は、1日でカリエスを除去、裏装、窩洞形成、印象採得、咬合採得と進みます。
材料で印象採得、咬合採得をする場合、セラミックインレーを作業模型上作製するので1〜2週間程度の作製期間がかかります。
光学印象の場合は基本的に即日で作製可能なので、ケースによっては1日でカリエス除去から、セラミックインレーの装着まで進めることが可能です。
ラミネートベニア治療の流れと治療期間
ラミネートベニアは前歯部の変色や表面上の脱灰に対して審美的な回復をはかるために採用されます。基本的には生活歯に対して採用されます。エナメル質になるべく限局するように形成し、印象採得、咬合採得をして、仮封をします。ラミネートベニアを作製し、口腔内に装着します。
- エナメル質とは、歯の最表層にある部分で、成分のほとんどが無機質のハイドロキシアパタイトからなるものです。
ラミネートベニアの治療期間
まずラミネートベニアの形成を行い、印象採得、咬合採得を行います。ここだけは1日で進むことが可能です。
その後、材料で印象採得、咬合採得をした場合は、石膏で作製した作業模型上でラミネートベニアを作製するので1〜2週間程度の作製期間がかかります。光学印象の場合は基本的に即日で作製可能なので、ケースによっては1日でカリエス除去から、セラミックインレーの装着まで進めることが可能です。
セラミックスの材質について
セラミックの材質には主にオールセラミックとハイブリッドセラミックと主に2種類があります。
オールセラミックは純粋に全成分がセラミックでできたものです。ハイブリッドセラミックはプラスチックとセラミックが混ざった材料です。前者は色調の透明感や耐摩耗性に優れているのに対し、後者は安価に作製できる、加工が容易といった特徴があります。
【まとめ】セラミックを使用した歯科治療にかかる治療期間
セラミックを使用した歯科治療の治療期間は歯の種類や形態、使用するセラミックの材質によっても異なります。治療する前に歯科医師や歯科衛生士にどの程度の期間と治療回数がかかるのかを確認することをお勧めします。