ガミースマイルを改善する骨切り術の種類と治療が受けられる医療機関
ガミースマイルは笑った際に歯肉が過剰に見えすぎてしまう状態で、歯肉が目立ってしまうため見た目を気にされる方が多いです。
治療法にはボトックス注射や歯肉整形、粘膜切除、歯冠修復などがありますが、その中でも全身麻酔下で顎の骨を切ることによってガミースマイルを改善する、いわゆる骨切りの手術が必要な場合があります。
この記事では、骨切り手術の種類と適応となる症例、治療を受けられる医療機関について解説します。
この記事を読むことで、どのようなガミースマイルが骨切り術の適応となるのか、費用や骨切り術の治療法、ルフォーⅠ型骨切り術と上顎セットバックの術式について理解でき、下記のような疑問や悩みを解決します。
こんな疑問を解消!
- 骨切り術が適応となるガミースマイルの種類
- 骨切り術は保険が適用されるのか?
- 骨切り術の費用はどれくらいかかるのか?
- 骨切り術の種類と治療法
- 骨切り術の治療を受けられる医療機関
ガミースマイルとは
ハイリップによって笑った際に上顎の歯肉が過度に見えてしまう状態をガミースマイルといいます。笑った際に歯肉が見えることを個性として前向きに捉えることもありますが、一般的には審美障害として捉えることが多いです。
骨切りの手術が適応のガミースマイルの種類
ガミースマイルの原因は、上顎骨の発達異常からくる骨の問題、口腔周囲筋の異常による筋肉の問題、歯の大きさや歯肉の形態異常からくる歯・歯周組織の問題からなります。この中で骨切りの手術の適応になるのは上顎骨の発達異常からくる骨の問題です。
費用は自由診療の場合、医院や病院によって料金が異なりますが、相場としては手術だけで100〜300万円はします。
骨切りの手術を受けるメリットとしては、骨の後戻りがなく根本治療としてガミースマイルが改善できるというのが最大の特徴です。
手術は全身麻酔下で行われます。術後数日間の入院は確実に必要になります。
2週間くらいは手術による疼痛や腫脹が確実に出るため、生活に制限がかかります。また、半年くらいは神経損傷による神経症状や開口障害が出ることがあります。
骨切りの手術が保険で受けられる?
骨切りの手術を保険で受けるためには顎口腔機能診断を受け、保険適用であるか診断を受ける必要があります。そのためには顎口腔機能診断施設を受診する必要があります。
顎口腔機能診断施設の基準としては、次の3項目が指定基準となっています。
仮に保険適用になった場合、自己負担の費用としては3割負担で、術前後の矯正治療で20〜30万円、入院手術費用が高額療養費制度利用で50万円弱程度かかります。
指定自立支援医療機関であること
障害者自立支援法施行規則(平成18年厚生労働省令第19号)第36条第1号及び第2号に係る医療について、障害者自立支援法(平成17年法律第123号)第59条第1項に規定する都道府県知事の指定を受けた医療機関(歯科矯正に関する医療を担当するものに限る)であること。
指定された検査機器と人員配置がなされていること
下顎運動検査、歯科矯正セファログラム(頭部エックス線規格写真) 及び咀嚼筋筋電図検査が行える機器を備えていること。
専任の常勤歯科医師及び専従する常勤看護師または常勤歯科衛生士がそれぞれ1名以上勤務していること。
医療を担当する診療科と別の保険医療機関との間の連携体制が整備されていること
当該療養につき口腔に関する医療を担当する、診療科または別の保険医療機関と、歯科矯正に関する医療を担当する、診療科または別の保険医療機関との間の連携体制が整備されていること。
骨切りの手術の種類
ここでは骨切りの術式を説明していきます。
Le Fort Ⅰ型骨切り術
Le Fort Ⅰ型骨切り術は鼻腔底の上方で水平に切断した上顎骨を移動する方法です。
術式としては、まず上顎骨の両側第一大臼歯部を結ぶ石灰を歯肉頬移行部に加えて骨膜剥離をします。
次に、切開した後端から上顎結節の近くまで骨膜を剥離します。根尖に注意しながら梨状口付近から上顎結節の歯槽部まで水平方向に上顎骨を切ります。
鼻中隔を鼻稜より離断した後、上顎骨と翼状突起との結合部で分離します。
鼻腔粘膜を鼻腔底より剥離し、前歯部を下方へ押し下げて骨片に可動性をもたせます。
術前に採得した模型を参考にして理想の咬合状態を確認し、適切な位置で骨片の固定を行います。この際に移動量の兼ね合いで骨欠損や空隙が生じる場合は骨補填材で補填します。
最後に創を閉鎖して終了となります。
上顎前歯部骨切り術
両側の上顎第一小臼歯を抜去して、1歯分の歯槽骨(歯槽突起、歯槽部)を削り、そのスペースに上顎前歯部を後退させる方法です。
術式としてはまず両側の上顎第一小臼歯を抜去します。
抜歯した部位の唇側歯肉を縦切開し、粘膜骨膜弁を形成します。
歯槽骨を露出させ、切開した上端から梨状口下縁まで粘膜骨膜弁を剥離し、頬側の水平方向の骨切りを梨状口まで実施します。
口蓋骨の水平方向への骨切りも骨膜を剥離して行い、口蓋骨を切除します。
鼻中隔を鼻稜より離断し、あらかじめ用意しておいた模型を利用し、前歯部の骨片を予定した位置に移動させます。 顎内固定や顎間固定をした後、縫合して終了となります。
骨切りの手術が受けられる医療機関
骨切りの手術が受けられる医療機関として歯科口腔外科を併設している病院があります。
ただ、歯科口腔外科を併設している病院でも顎の骨切りの手術をあまり扱っていない病院や、専門でないところもあるので、注意が必要です。また、一部の美容外科でも手術を受けることができます。
【まとめ】ガミースマイルを改善する骨切り術の種類と治療が受けられる医療機関
ガミースマイルを改善するための骨切り術の種類について解説しました。
この記事では、下記のようなことが分かったのではないでしょうか。
ここがポイント!
- 骨切り術が適応となるのは、上顎骨の発達異常が原因となっているガミースマイル
- 骨切り術は顎口腔機能診断によって保険適用となる場合があるが、その場合は定められた医療機関で治療を受ける必要がある
- 保険が適用されずに自費治療となる場合は、治療を受ける医療機関によって料金は異なり、およそ100〜300万円ほどの治療費がかかる
- 骨切り術の種類は「Le Fort Ⅰ型骨切り術」と「上顎前歯部歯槽骨骨切り術」の2種類があり、治療は全身麻酔下で行われ入院が必要などのデメリットもあるが、後戻りのリスクが少ないという大きなメリットもある
- 骨切り術は、歯科口腔外科を併設している病院や一部の美容外科でも治療を受けられる
ガミースマイルは原因によって治療法が異なります。その中でも、上顎骨の骨格が原因でガミースマイルになっている場合は、骨切り手術が適しているでしょう。
ガミースマイルを改善する上顎の骨切り術には「ルフォーⅠ型骨切り術」と「上顎セットバック」がありますが、上顎骨の縦の長さをアプローチするには「ルフォーⅠ型骨切り術」。口元の突出感を無くしたいのであれば「上顎セットバック」が適しているでしょう。
どちらの場合も、上下の噛み合わせを整えるために矯正治療を併用することもあります。
南青山矯正歯科クリニックでは、ガミースマイルの治療として「歯肉整形」「ボトックス治療」「セラミック矯正」「インプラント矯正」などを行っています。
骨切り術を受けるか検討されている方の中には、痛みが少なく比較的挑戦しやすいボトックス治療でシミュレーションされる方もいらっしゃいます。ガミースマイル治療を検討されている方は、一度当院にご相談ください。