オールセラミックといえば、天然の歯に近い、白く透明感のある綺麗な歯がイメージされることでしょう。確かにセラミック100%でできたこの素材はとても美しいものですが、一方でオールセラミックにもデメリットがあります。一見、非がないように見えるオールセラミックですが、どのようなデメリットがあるのでしょうか。
今回はオールセラミックのデメリットを中心に、メリットもご紹介していきます。
目次
被せ物や詰め物のオールセラミックとは
オールセラミックとは「せともの」と同じ素材を使っているセラミック製の人工の歯のことで、そのセラミックの素材が100%使われたものです。つまり内部が、金属や他の素材で作られているというものではなく、すべてがセラミックでできている素材です。一般的にオールセラミックの治療は、歯が欠けたときや、歯を削ったときに補うための詰め物や被せ物に使われるほか、矯正治療やインプラントなどに使われることもあります。とても自然で、天然の歯に近いのが特徴です。
オールセラミックの4つのデメリット
しかしオールセラミックにはデメリットもあります。その欠点となる短所には、どのようなものがあるのか、メリットとともによく確認しておくことが大切です。これがオールセラミック治療を失敗しないためのポイントでもあるのです。主な4つのデメリットをみていきましょう。
健康な歯を削らなければならない
よく言われるのが、健康な歯を削る必要があるという問題です。オールセラミックはセラミック治療の一つですが、セラミック治療では、必ず歯を被せるときに土台が必要になります。歯が残っている場合は削って、それを土台にして、セラミックの歯を被せます。
このとき、削る量はセラミックの種類によって異なりますが、強度を保つために、ある程度厚みを持って作る必要があります。よってセラミックの歯をできるだけ厚くするために、土台となる歯の削る量を増やす必要が出てきます。
後ほどもご紹介しますが、もともとオールセラミックの歯は割れる・欠けるといったデメリットもあります。その割れたり欠けたりするのを回避するために歯を削る必要が出てくるのです。
歯の神経を抜く可能性がある
オールセラミックは、口の状態、歯を削る量、希望の仕上がりによっては神経を除去する必要が出てくる場合があります。歯を大きく削ると、歯の中心にある歯髄(しずい)と呼ばれる歯の神経が収まっているところの近くにまで進んでしまうことがあります。歯の神経に近づくにつれて、歯がしみたり痛みを感じたりしやすくなります。
しみたり痛みを感じたりする状態のままセラミックを被せてしまうと、痛くて生活できなくなってしまいます。そのため神経を除去して痛みを回避するという方法がとられます。もちろんすべてのケースで神経を抜く必要があるわけではありません。神経を抜かないで済む場合もあります。
噛み合う自分の歯が削れる可能性もある
オールセラミックの歯を装着した後に、そのオールセラミックの歯が上と下で噛み合う天然歯がありますが、その自分の歯がオールセラミックの歯によって削れることがあります。これはオールセラミックが硬い素材であることが理由です。このように自分の歯が傷ついてしまうというデメリットがあるのです。
割れる・欠けるなどの性質がある
オールセラミックは割れる・欠けるなどの性質があります。先ほど「せともの」と同じ素材と述べましたが、せとものを落とすなどして強い衝撃を加えると割れてしまいます。しかし、ちょっと指でコンコンと叩いたくらいでは容易に割れません。
これと同様の性質がオールセラミックにもあるのです。ただ最近ではかなり改良されてきており、強度も高まってきています。歯ぎしりや食いしばりなどで、特別、強く噛み締めない限り、割れる心配はないでしょう。
オールセラミックの7つのメリット
しかし、オールセラミックにはこれらのデメリットを補うメリットが豊富にあります。その長所をみていきましょう。
金属アレルギーでも装着可能
オールセラミックは、100%セラミック製なので、金属は一切含まれていません。そのため金属アレルギーを起こすことはありません。さらに劣化しないため、金属が溶け出して歯茎が黒くなるといったような心配もあり得ません。
保険の差し歯と比べてより自然な色とデザインで仕上がる
オールセラミックは保険適用の金属やコンポジットレジンなどの差し歯と比べると、色とデザインを豊富にある中から選ぶことが可能です。白い色や艶のある質感、光を反射する美しさなどは、他にはない特長です。
保険の差し歯のように変色の心配がない
保険適用の差し歯の中には、コンポジットレジンというプラスチック製のものがあります。しかしこれは時間の経過と共に変色することが知られており、徐々に黄色っぽくなってきます。しかし、レジンに歯を白くするホワイトニング治療をしても白くできません。
これと比べ、オールセラミックはそもそも変色することはありません。レジンの変色は水分を吸収することによって起きるといわれていますが、オールセラミックはせともののように水分を吸収するということはなく、変色のリスクもないのです。
着色したステインを歯磨きや歯のクリーニングで除去できる
オールセラミックは変色しないだけでなく、ステインという着色汚れも付着しにくく、さらに歯磨き、もしくは歯医者さんで行われているクリーニングで除去することができます。
ステインとはコーヒーや紅茶などを飲んだときや、タバコを吸ったときなどに歯に付着する色汚れのことで、どんどん蓄積されていくと、もはや歯磨きでは取れなくなってしまいます。歯医者さんで行われているクリーニングであっても除去することができなくなります。
保険の差し歯と比べてバレづらい
オールセラミックは天然の歯の再現性が高く、治療を受けたことが人にバレにくいといえます。一方、銀歯や変色した後のコンポジットレジンのように、天然の歯から遠い見た目の歯になると、どうしても治療したことが人にバレてしまいます。特に前歯の治療になると頻繁に人に見られることになりますので、オールセラミックは大いに見た目に貢献してくれます。
抜歯が不要で部分矯正ができる
オールセラミックは、セラミック矯正という矯正治療にも使われています。矯正治療といえば、ワイヤー矯正やマウスピース矯正が有名ですが、このうち、ワイヤーで歯を動かしていくワイヤー矯正は、歯を動かすスペースを確保するために数本、抜歯してから矯正を行うことがあります。
しかし、セラミック矯正で、抜歯することは稀なケースで、通常、抜歯することはありません。つまりオールセラミックをはじめとしたセラミック治療では、抜歯をせずに部分矯正ができるというメリットがあります。
銀歯と比べて口臭のリスクが軽減される
口臭のリスクについても、オールセラミックは少なくなります。口臭が気になる差し歯というと銀歯が思いつきます。銀歯はよく口臭が出るといわれており、長年つけていると銀歯と下の歯の間に隙間ができて、そこに汚れや細菌が入り込むことで虫歯リスクも高まりますし、虫歯が進行すると臭いも出てくるようになります。
それと比べてオールセラミックは歯との適合がよく、経年劣化もしないことから隙間ができることもないため、口臭リスクも少なくなります。もちろんオールセラミックであっても歯磨きを怠ると虫歯になるリスクが高まりますので、お手入れは必要ですが、銀歯と比べると口臭リスクが下がります。
【まとめ】オールセラミックの7つのメリットと4つのデメリット
オールセラミックについてのデメリットとメリットをご紹介してきました。デメリットとしては、歯を削る必要性があること、割れやすいといったことがあります。しかしそれらの欠点をカバーするために、さまざまな対策が考えられています。
もしオールセラミックの治療を歯科医院で受ける場合には、そうしたオールセラミックのデメリットをわかりやすく説明してくれて、それに対してどのような考え方を持っているか、どのような対策をとっているかを確認しておくと、良い歯科医院を選ぶことができるでしょう。