ホワイトニング前後の歯の色の変化を確認する方法
ホワイトニングをしたあとに、施術前と比べてどれくらい白くなったか知りたいと思いませんか。
たしかに、鏡で見れば歯が白くなったことはわかるはずです。しかし、客観的に見てどう変化しているのか気になる場合もあるでしょう。
この記事では、ホワイトニングによる歯の色の変化を確認する方法などを解説します。
この記事を読むことで、歯の色を判定する際の色の分類や色判定の方法などを理解でき、下記のような疑問や悩みを解決します。
こんな疑問を解消!
- 歯の色を判定する際の系統色・明度・彩度の分類について
- ホワイトニング後の色判定の方法
- 家庭での色判定について
- ホワイトニングの効果を長持ちさせる方法
歯の色はどう判定する?
人間の肌には白い、黒い、赤い、黄色いなど生まれ持った様々な色があり、それはその人の個性と言えます。歯も同じく、色の系統や明るさで生まれつきの個人差があります。
ホワイトニングに関わらず、歯科治療を行ううえで歯の色を把握することは重要で、そのために以下のような分類がされています。 歯の色はこの分類に従って判定されています。
歯の系統色
歯の系統色とは、その歯が何系の色か?を示したものになります。色の3要素のうち色調を示したものとも言えます。
実際の歯には白帯と呼ばれる白色部があったり、エナメル質の透明度により紫がかかって見える部分があるなどして歯の色は意外と複雑なものですが、歯全体の大まかな色味の表現として系統色が利用されます。
系統色は多少の表記の揺れはありますが、A(赤茶系)、B(赤黄系)、C(グレー系)、D(赤グレー系)の4系統で示されます。
日本人ではA系統が多く、だいたいの人はこの系統に属します。
ホワイトニングの効果は暖色系で実感しやすく、グレー系では実感しにくくなるとされています。
明度・彩度
色の3要素のうち明度は明るさを、彩度は鮮やかさを指すものです。
明度が高いと白くなり、低いと黒くなります。また、彩度は高いとビビッドに、低いと無彩色(グレートーン)になります。
様々な研究により、ホワイトニングをすると明度が高くなり、一方彩度が低くなることで歯が白く見えるようになることが示されています。
チェアサイドでの色判定
歯科医院のチェアーユニットに座った状態での色判定についてです。
歯の色判定をする際には、色系統と明度・彩度によるサンプルと実際の歯を見比べて判定することになります。
この色判定に用いるサンプルをシェードガイドと呼び、各メーカーから様々な製品が出されています。
VITAシェードガイド等を用いた色判定
補綴治療や修復治療の際に歯の色を判定し、使用する材料の色を決定するのに用いられるシェードガイドを用いた色判定です。
このタイプのシェードガイドは各系統色と彩度により番号が振られており、「A3」や「C2」といった表示とサンプルが一体化したものになっています。また、この表示はメーカー間で差がありません。
A系統は1,2,3,3.5,4の5種、B,C系統は1,2,3,4の4種、D系統は2,3,4の3種で計16色から構成されています。
ホワイトニング用に作られた製品ではないですが、ホワイトニング用のシェードガイドを用意していない医院もあり、その際にはこのタイプのシェードガイドが色の判定に用いられます。
ほぼすべての医院が用意しているものでありメーカー間での色味の差が少ないため、患者さんの引っ越しなどによる転院先でも前院とほぼ同じ基準で評価できるのが利点ですが、ホワイトニング用シェードガイドと比べると明度の評価が得意ではありません。
これを用いたホワイトニング前後の色のレベル評価としては、同系統のシェードの中で番手が1か2上がった(数字が小さくなった)とされることが多いです。
ホワイトニング用シェードガイドを用いた色判定
補綴や修復用のシェードガイドとは異なり、明度と色の濃さなど別基準で作られています。
ホワイトニング後の色のみを用意した製品や、ホワイトニング前後で比色できるよう着色歯のシェードを用意した製品があります。
ホワイトニングの前後でシェードガイドを用いて目で色判定をする点は前述のシェードガイドを用いる方法と変わりませんが、明度による階調表現がより細かいため詳細な評価が可能になっています。
すべての医院が用意しているわけではないことと、製品によってシェードの数(=階調表現の細かさ)や色の表現方法が異なるため、どこでも同じ評価ができるわけではありません。
これを用いた色判定では、元の着色程度や歯のオリジナルの色、シェードの数にもよりますが、ホワイトニング前後で5段階程度番手が上がることも見られます。
医院での色のレベル評価において、オフィスホワイトニングでは1時間程度の施術の前後で評価できるため色の変化がわかりやすいですが、数週間かけてゆっくりホワイトニングをしていくホームホワイトニングではホワイトニング前の色を忘れてしまい、自分では色の変化がわかりづらいこともよくあります。
そのため、医院で施術前に歯とシェードガイドを一緒に写真を撮ってそれを基準とし、施術後にも写真を撮って客観的に評価できるようにすることがあります。
家庭での色判定
ホームホワイトニングの場合、施術期間中や終了後に家庭でも色の変化を知りたいと思うかもしれません。
今は通販でもホワイトニング用シェードガイドは手に入りますし、スマホのアプリなどもあるため自分で評価できるのでは?と思われるかもしれません。
結論から言うと、家庭ではきちんとした色の評価、判定は困難です。
シェードガイドを用いた色判定は常に同じ適切な条件で行われなければ正しい評価はできません。また、写真を撮って評価する際にも、たとえばスマホのカメラで撮るときに手やスマホで影ができてしまうとそれだけで正確に色を捉えることはできません。影ができないようにフラッシュを焚くと今度は白飛びしやすくなり、やはり正確な画像は得られません。
シェードガイドの位置づけも重要であり、歯の色を正しく評価するのは意外と難しく、そのための講習や本まで出ているほどです。
せっかく手間や時間をかけて行うホワイトニングなので、効果判定はホームホワイトニングでも歯科医院で行うことをおすすめします。
ホワイトニング後の色戻り
ホワイトニングをしてから年月が経過すると、一度白くなった歯がまた色が戻ってきたように見えることがあります。
ホワイトニングは歯の内部に入り込んだ色素を薬剤で壊すことで歯の白さを取り戻すものですが、時間の経過により再び食品などの色素が入り込むと色が元に戻ってきたように見えてしまい、実際にシェードガイドで確認すると数字が大きくなっていることがあります。
これを防ぐには、半年に一度ほどキャッチアップと呼ばれる追加のホワイトニングを行うことで、ホワイトニングの効果を長持ちさせることができると言われています。
キャッチアップは最初の施術より少ない回数や短期間で終わらせられることが多く、完全に元の色に戻ってから再びホワイトニングを行うよりは負担は少なくできると思われます。
【まとめ】ホワイトニング前後の歯の色の変化を確認する方法
ホワイトニング後の歯の色の変化を確認する方法や、ホワイトニングの効果を長持ちさせる方法などを解説しました。
この記事では、下記のようなことが分かったのではないでしょうか。
ここがポイント!
- 歯の色は、系統色・明度・彩度で判断される
- ホワイトニングの効果は暖色系で実感しやすく、明度が高くなり、彩度が低くなると歯が白く見える
- ホワイトニング後の色判定は、シェードガイドを用いることが多い
- シェードガイドを用いても、家庭で歯の色を評価・判定するのは難しい
- ホワイトニング後の色戻りを防ぐため、半年に1回は追加のホワイトニングをするとよい
ホワイトニングをする際には、現在の歯の色や施術後の色の変化の見通しなど、施術前から歯科医師による評価を受けることが重要です。
南青山矯正歯科クリニックでは、女性歯科医師がどれくらい歯を白くできるのか、ホワイトニング後の評価を行っております。ホワイトニング施術について、詳しく知りたい方は、まずは診察にてご相談いただければと思います。
参考文献
大前正範他. 「ホワイトニング前後における歯質への着色量の変化に関する研究」. 日本歯科保存学雑誌. 2007年, 50巻, 6号, p.675-680. https://www.jstage.jst.go.jp/article/shikahozon/50/6/50_KJ00005468236/_pdf/-char/ja, (参照 2019-6-16)