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メタルボンドとは?他の素材との違いやその適応について

メタルボンドとは?他の素材との違いやその適応について

セラミックによる歯の補綴は意外に種類があるため、どれを選ぶべきか悩むこともあるでしょう。
現在のところ主流はジルコニアやガラスセラミックですが、「メタルボンド」という選択肢もあります。

この記事では、セラミック歯の一種であるメタルボンドの概要や特徴などを解説します。
この記事を読むことで、メタルボンドの構造やメリット、デメリット、他の素材との違いなどを理解でき、下記のような疑問や悩みを解決します。

こんな疑問を解消!

  • メタルボンドとはどのようなものか
  • メタルボンドの構造
  • メタルボンドの特徴やリスク
  • メタルボンドとオールセラミッククラウンの違い

目次

メタルボンドとは?

メタルボンドとは、陶材焼き付け鋳造冠の俗称で、英名はporcelain fused to metal crown(PFM)といいます。

このコラムでは、俗称であるメタルボンドという呼び方で今後記載します。

名前の通り、陶材(ポーセレン)が焼き付けられた金属製のクラウンです。アメリカで桑田正博氏が研究・開発し、国内では30年以上にわたり使用されています。

メタルボンドの構造

メタルボンドは金属製のコーピング(フレーム)とその外側に焼き付けた(=化学的に結合した)陶材からなります。

歯に接する、クラウンの一番内側に金属製のコーピング、そこに金属色を透かさないようにするためのオペーク陶材が乗り、さらに歯の形や色を作る陶材が、最も外側には艶や光沢を出すための薄いガラス層がきます。

コーピングに使用する金属は当初は専用の金合金が、現在はそれに加えてコバルトクロム合金も使用されるようになっています。

メタルボンドの特徴

メタルボンドにはいくつもの優れた特徴があるため、ジルコニアなどの新しい材料が登場、進化する中でもメタルボンドは第一線の補綴装置として生き残っています。

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適合精度が高い

原法では、歯科用金属の中でも特に加工性の良い金合金を使うため、極めて高い適合精度を実現できます。この適合精度の高さは、まだオールセラミックでは実現が難しいところです。

設計の柔軟性が高い

メタルボンドの基本形はありますが、どこまでを金属で覆ってどこまでを陶材で覆うかや、レストやアタッチメントといった義歯を安定させるための構造をつけるなど、オールセラミックでは難しいこともメタルボンドでは可能です。

それぞれのケースに応じて設計を変えることで、前歯でも奥歯でも使うことができます。

ロングスパンでの使用が可能

ロングスパンとは、歯科ではおおむね5歯以上にわたる長い補綴装置のことを指します。

ガラスセラミックや部分安定化ジルコニア(PSZ)では、歪みや強度の関係で使用できません。

フレーム用として用いられる正方晶ジルコニア多結晶体(TZP)ならロングスパンも可能ですが、高い精度を求めることは困難です。

金合金を使用するメタルボンドでは元々の適合精度の良さに加え、歪みなどがあっても臘着(ろうちゃく)などの金属ならではの補正手段があるため、ロングスパンでも高い精度を維持して使用できます。

ポーセレンが欠ける可能性がある

メタルボンドでは陶材(ポーセレン)を用いますが、このポーセレンが強い咬み合わせの力などによって欠けることがあります。

ポーセレンは、ガラスセラミックやジルコニアと比べると5~10倍以上も強度が低く、セラミックならではの脆さもあるため、特に奥歯の咬み合わせの面にポーセレンを使用する場合は、欠けるリスクが高くなります。

オールセラミッククラウンとの違い

メタルボンドとオールセラミッククラウンでは、どのような違いがあるのでしょうか?

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適応が広い

先ほど挙げた特徴のように、メタルボンドはアタッチメントなどの構造を付け加えることや、1歯から全顎のような超ロングスパンまで対応することもできます。

ロングスパンはジルコニアセラミックでも不可能ではないですが、精度の面で限界があります。

ジルコニアも適応が広くなっていますが、ジルコニアの種類を変えることでさまざまなケースに対応しているものであるのと、アタッチメントなどの細かな構造をつけることはできないため、メタルボンドほどの適応の広さはありません。

金属の露出する部分がある

メタルボンドで用いるポーセレンは脆く粘りがない材料のため、咬み合う面や歯頸部(歯と歯茎の境界付近)などの強い力のかかりやすい部分は、できるだけ金属で覆うほうが良いのですが、その反面、金属が露出した部分が黒く見えてしまいます。

金属が露出することになりやすい部分として、歯頸部、口蓋側 / 舌側(歯の裏側)、強い力のかかる咬合面、義歯のフレームと接する箇所があります。

特に前歯の歯頸部でフレームの金属が露出する設計では、歯茎が黒ずんで見えてしまうことがあります。

色調表現ではやや劣る

メタルボンドはフレームの金属色を隠す必要があるため、どうしても透明感が無い部分が多くなり、マットな印象になりやすくなります。

歯の色調表現は透明感も大事な役割を果たすので、その点でガラスセラミックやジルコニアセラミックよりも色調表現ではやや劣ることが多いです。

【まとめ】メタルボンドとは?他の素材との違いやその適応について

メタルボンドの特徴やほかの素材との違いなどを解説しました。
この記事では、下記のようなことが分かったのではないでしょうか。

ここがポイント!

  • メタルボンドとは、陶材(ポーセレン)が焼き付けられた金属製のクラウンのこと
  • メタルボンドの構造は、クラウンの内側から、「金属製のコーピング」→「金属色の透過を防ぐオペーク陶材」→「歯の形や色をつくる陶材」となっており、一番外側は艶や光沢を出す薄いガラス層になっている
  • メタルボンドは、適合精度が高く、症例に合わせて柔軟に設計を変えることも可能で、ロングスパンでも高い精度を維持して使用できるが、ポーセレンが欠けるリスクがある
  • メタルボンドは、オールセラミッククラウンに比べて適応が広いが、金属が露出しやすく、色調表現に限界があるなど、審美面でやや劣る

メタルボンドは、歴史があり技術的に成熟した補綴装置です。
ガラスセラミックやジルコニアに比べると色調表現で劣る場面はありますが、それを補える利点があり、メタルボンドが第一選択となる場合もあります。
セラミックでの補綴を考えるときの選択肢として、検討してみてはいかがでしょうか。

南青山矯正歯科クリニックでは、的確な診察と正確な診断をもとに患者様の症状や希望を考慮して、最適なセラミックの素材をご提案させていただいております。
セラミックの素材選びでお困りや疑問がある方は、事前カウンセリングで女性歯科医師にお尋ねください。丁寧に対応させていただきます。

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