過蓋咬合とは
過蓋咬合
過蓋咬合(かがいこうごう)とは、奥歯を噛んだ状態で前歯が深く咬み合っている状態をいいます。ディープバイトと呼ぶこともあります。過蓋咬合では、前歯の上の歯で下の歯が隠れてしまう、下前歯で上の歯の内側の歯肉を噛んでしまうことでの炎症などの症状がみられます。また、下顎に制限がかかることで、顎関節に悪影響を及ぼすこともあります。
上顎前突症(出っ歯)や叢生(乱杭歯)を併発しているケースがあります。できるだけ顎骨の成長が残っている早い段階で改善することが望ましい不正咬合です。
過蓋咬合の症状とリスク
過蓋咬合の状態では、他の不正咬合と同じようにブラッシングにしづらさからくる清掃不良を起こしやすく、虫歯や歯周病、口臭の原因にもなっていることもあります。
下前歯が上前歯で隠れてしまう
正常な咬み合わせでは、上前歯が下前歯に2〜3ミリ程度被りますが、過蓋咬合の場合、前歯が深く咬み込んでいることで、下の歯が上の歯で隠れてしまう状態にあります。
下前歯が上前歯の裏側の歯茎を噛んでしまう
前歯の咬み込みが深すぎると、下前歯が上前歯の裏側の歯茎を噛んで傷つけてしまうこともあります。それにより、歯茎に炎症や腫れがおき、さらには歯周病になるリスクが高くなることもあります。
顎関節へ負担がかかる
過蓋咬合の場合、歯の接触が著しいため下顎の動きに制限がかかります。このような状態が続くことで、顎関節に慢性的な負荷がかかり、顎の開閉時に耳の横から音がポキポキ出たり、口が開きづらい、もしくは閉じずらいなどの症状がみられ、ひどくなると顎関節症を発症することもあります。
審美的な低下を招く
過蓋咬合によって下前歯が見えなくなることで上前歯が強調され、前歯が大きくみえることがあります。また上前歯の歯茎がみえやすくなるガミースマイルになり、コンプレックスを抱える原因にもなります。
機能的な低下を招く
過蓋咬合の状態では、咀嚼がしづらく胃への負担がかかったり、発音・発声が悪くなることで、対人関係に悪影響がでることも少なくありません。
前歯の乾燥により虫歯・歯周病のリスクが上がる
過蓋咬合では、前歯が空気に触れることが多くなることで歯が乾燥し、虫歯や歯周病になるリスクが高くなります。
歯が欠けるリスクが上がる
過蓋咬合の状態は、上下の前歯の隙間が少ないため、歯ぎしりや食いしばりなどがあると、前歯だけでなく奥歯にも負担がかかります。これにより天然歯の摩耗や欠け、人工歯の破損や脱離のリスクが高くなります。
過蓋咬合の原因
過蓋咬合は、顎骨の位置関係の異常や、何かしらの歯の異常が原因として挙げられます。
上下の顎骨のアンバランス
上の顎骨が大きく、下の顎骨が小さいと過蓋咬合になることがあります。上顎の過成長と下顎の成長不良が主な原因です。
顎の位置異常
上顎が下顎よりも相対的に前に出ていると、過蓋咬合になることがあります。
前歯・奥歯の高さ異常
前歯が本来よりも高い位置にあったり、奥歯が低い位置にあったりすると、過蓋咬合の症状が現れやすくなります。生まれつきそのような歯並びの方もいれば、虫歯による抜歯や経年的な咬耗などで歯の高さが変わる方もいます。
過蓋咬合の治療方法
過蓋咬合の治療方法は、ワイヤー矯正やマウスピース矯正、セラミック矯正などで奥歯の高さを出して前歯の咬み込みの深さを改善したり、天然の歯の研磨やセラミッククラウンなどで、前歯の先端の形を変えて咬み込みの深さを解消する必要があります。